■ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲 (監督:デビッド・カー 2018年イギリス/フランス/アメリカ映画)
■あのお騒がせスパイがまた帰って来たッ!?
あのお騒がせスパイが三度帰って来たッ!?というスパイ・コメディ映画『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』であります。
スパイ映画も数々ありますが、『裏切りのサーカス』や『誰よりも狙われた男』などのシリアス路線、『007』『ミッション・インポッシブル』『キングスマン』『ボーン・アイデンティティー』シリーズなどのアクション路線と並び、「おバカスパイ路線」と呼ぶべきジャンルもまた地道に製作されています。
筆頭はなんと言っても『オースティン・パワーズ』シリーズですが、他にも『ゲット・スマート』『SPY/スパイ』『エージェント・ゾーハン』『アンダーカバー・ブラザー』なんてェ「おバカスパイ映画」があり、実はどれも大いに笑わせてくれる良作コメディ揃いなんですよ。
■シリーズ3作目なんだッ!?
さて今回紹介する映画のタイトルは『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』。まずなんといってもあの『Mr.ビーン』で知られるイギリスの人気コメディアン、ローワン・アトキンソンが主演を務めているというのが見所でしょう。そしてこの『アナログの逆襲』は『ジョニー・イングリッシュ』『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』に続くシリーズ第3弾ということになっているんですね。
そしてこの「ジョニー・イングリッシュ」シリーズですが、なにしろ主演のローワン・アトキンソンの、常軌を逸した行動と奇ッ怪極まりない表情をとことん楽しむ、彼の独壇場とも言える作品となっておるのですよ。いやーローワン・アトキンソン、人によっては「この人ホントに頭がおかしいの?」と思っちゃうぐらい不気味で狂ったキャラを常々演じており、ああ、やっぱイギリスのコメディアンは「モンティ・パイソン」の昔から狂い切った連中が揃っているのだなあ、としみじみ嬉しくなってしまいます。
■事件解明どころか事態悪化!?
今回の物語はサイバーテロにより全てのイギリス諜報員の素性が明かされてしまい、イギリス政府が引退したスパイに事件解明の要請をするところから始まります。そして白羽の矢が立ってしまったのが「イギリス諜報部史上最悪のスパイ」ことジョニー・イングリッシュだったッ!?という訳なんですな。しかしなにしろジョニーさん、やることなすこと頓珍漢かつ滅茶苦茶で、事件解明どころか事態悪化しか生まない!これではサイバーテロ犯より先にジョニーさんがイギリスを滅ぼしちゃいかねない!?
とはいえそんなジョニーさんをしっかり支えるのがかつての同僚ボフ(ベン・ミラー)。陰になり日向になりジョニーさんをしっかりフォローしジョニーさんのハチャメチャを軌道修正し、お陰でなんだか知らないけどテロ犯究明が進行してしまう!?ってか今回のミッションを遣り遂げてんのはジョニーさんじゃなくてボフなんじゃないのか!?そしてこのジョニーさんとボフの、おっさん二人のドタバタ二人三脚振りが今作の見所ともなっておるのですよ。
もうひとつの見所は謎の女、オフィーリアの存在でしょう。スパイ映画には「敵か味方か!?」という謎の女が欠かせませんからね。このオフィーリアを演じるのが『007 慰めの報酬』にも出演したオルガ・キュリレンコなんですな。今作ではボンド・ガールならぬジョニー・イングリッシュ・ガールとしてジョニーさんのしょーもない行動に引っ掻き回され続けます。いやあそれにしてもオルガ・キュリレンコ相変わらず美人ちゃんですねえ……。彼女の存在が今作を一個グレード高くしてくれています。
■アナログスパイv.s.ハイテク犯罪者!?
今作の特色となるのは「アナログスパイv.s.ハイテク犯罪者」の戦いといった部分でしょうか。まずジョニーさん、おっさんなんでITとかハイテクとか分かりません!分かりたくも関わりたくもありません!「私はスマホなんか使わん!(使えない!)」とか言ってFAXで指示を仰ぎ公衆電話で報告します!こんなおっさんがハイテク犯罪者とどう渡り合うというんでしょうか!でも「007」的な秘密兵器は大好きでキャッキャ言って使ってます!そしてお約束のように使い方を間違えます!おっさん単なる老害じゃんかよ!?
しかしこの「アナログスパイ」という設定は、昨今のスパイ映画の定石となった「なんだかよくわかんないハイテク」や「なんだかよくわかんないコンピューター・ハッキング」を駆使した、「なんだかよくわかんないからなんでもアリ」の展開へのアンチテーゼにもなっているんじゃないかとも思えます。また、幾多の「おバカスパイ映画」は「007」シリーズなどのスパイ・アクション映画のパロディで成り立っている部分が多分にありますが、既に相当にやり尽されているこのパロディ路線に新機軸を持ち込んだ「おバカスパイ映画」ということもできるんじゃないでしょうか!?ま、ホントはそんな高尚な作品じゃないので皆さんお気軽に楽しんでくださいね。