ニンジャ・スパイに不可能はない!〜映画『ニンジャ:インポッシブル』

■ニンジャ:インポッシブル (監督:トーマス・キャぺラン・マリング 2010年ノルウェー映画


マイク・マイヤーズ主演『オースティン・パワーズ』、スティーヴ・カレル主演『ゲット・スマート』。これらお馬鹿なスパイ映画に一石を投じた(投じなくてもいいけど)アホアホなスパイ映画が存在した。その名は『ニンジャ:インポッシブル』。ああもう「ニンジャ」と「ミッション:インポッシブル」が合体した時点で胡散臭い臭いがプンプンだ!しかもなんとノルウェー産だ!ノルウェーってフィヨルドとか連続テロばっかりじゃなくてアホアホもOKだったとは。北欧のアホはどんなことをやらかしてくれるのか確認するためにオレは早速DVDをレンタルしたわけだな。
お話はというと、冷戦下の世界を舞台に、この映画の主役であるノルウェー国王直属の隠密ニンジャ部隊の皆様が、CIA指揮下にあるSBとかいう秘密諜報機関と対立し、虚虚実実の諜報戦を繰り返しながら、最終的にお互いを潰しあう殲滅戦へと発展してゆくというものなんですな。しかしこうやって書くと物凄くシリアスな物語みたいなんですが、実際はというとなんだかひたすら妙な描写が次々と展開し、そのハズシ方がオカシイと言う脱力系のギャグ映画なんですよ。そのギャグのセンスもドタバタや下ネタを一切廃し、キザっぽかったりクールぶったりニヒルを気取る「所謂スパイ映画」の構造を裏返し、そこに「ニンジャ」という訳の分からない東洋の神秘を挿入することで微妙な可笑しさを醸し出そうとしているんですな。
例えば妙にセコイ「忍者秘密基地」とか、基地の遠景が妙に可愛らしい手作りジオラマセットだったりとか、描写が長い割には殆ど無意味に見える忍者選抜訓練とか、訓練のあとなぜかキャンプファイヤーだったりとか、急に悟り開いちゃったりとか、唐突に敵のアジトに火遁の術で進入したりとか、確かにそういう時代設定とはいえ電子機器がどれもハイテクどころか異様に古臭いものばかりとか、誰も彼も70年代風のもっさりしたファッションだったりとか、どこまでもアナクロでレトロなテイストで突き進んでゆくんですよね。しかしチャチさだけで行くのかと思ったら海上油田プラットフォームの戦いがあったりラストに派手な決戦があったり、決して安普請な映画というわけでもないんですよ。
いうなれば眉間に皺を寄せ大真面目な顔で馬鹿な事を言う、そういった笑いのセンスの映画でもあるんですよ。こんな微妙なくすぐりが連続で、始終ニヤニヤさせてくれるアホアホスパイ映画でありましたね。(なおレンタル専門でセルの予定はないようです)
〇参考:ニンジャ:インポッシブル/【SAMPLE】ビデオながら見日記


https://www.youtube.com/watch?v=4wNVjI9bJIk:MOVIE