リッチー・ホーティンなんぞを聴いている。

DUBミュージックも一通り聴いたみたいだし、WIRE06も近くなってきたと言うことで、再びテクノも聴くようになってきた。と言う訳で最近聴いているのはリッチー・ホーティンである。
リッチー・ホーティン、非常に技巧的なミニマル・テクノを聞かせるDJだが、CDでは100曲に上るテクノ音源をぶつ切りにしてループさせたMIXを見せ、実に独特のエレクトロ空間を作る男だ。幾千の針先がきらきらと輝いているような神経症的で硬質な高音と山鳴りのように響くダビーな低音。音響系とはまた違ったダンサンブルかつアーティスティックなテクノMIXを、文字通り創造する鬼才であり天才DJだということが出来るだろう。


■DE9:Transitions + DVD / RICHIE HAWTIN

De9: Transitions + DVD

De9: Transitions + DVD

ターンテーブル3台でのMIXやファイナルスクラッチの使用等、常にDJというパフォーマンスを進化させてきたRICHIE HAWTIN、4年ぶりとなるオフィシャルMIXをリリース! 様々な憶測が飛び交う中リリースされた本作は、DVD + CDというフォーマットを用いることにより、彼のヴィジョンが十二分に反映された、現時点でのミニマル・テクノの最高到達点と呼べる傑作となった。この先、RICHIE HAWTINはどこに向かうのだろうか… できるかぎり良い環境で視聴されることをおすすめ、今まで味わったことのない体験ができます!
http://diskunion.net/clubt/detail.php?goods_id=CM-0008869

CDとDVDの2枚組、これが実に素晴らしい。前作『DE9: Closer To The Edit』が技巧性が前面に出たインテリジェントな完成度であったのに比べ、この『DE9:Transitions』ではよりダンサンブルな仕上がりとなっている。勿論リッチー・ホーティンらしい痙攣する高音と重低音は健在。彼の新たなステージということが出来るかもしれない。そしてDVDではDJライブの模様とタルコフスキーの「ストーカー」の映像やCGを駆使したイメージビデオなどが観る事ができるが、これはDVDの5.1chに対応した音響設計になっており、システムを持っているのならより深く彼の世界に入ってゆく事が出来るだろう。さらにDVDにはMP3音源としてCDバージョンより長い97分ものTransitions Long Versionが収録されている。


■Minimize To Maximize

Minimize to Maximize

Minimize to Maximize

Richie HawtinのレーベルMinusからのコンピCD!Mathew Jonson, Magda, Run Stop Restore, Slacknoise, Marc Houleから、Telegraphのコンピにも収録された新人Pheek, そしてRichie Hawtinの変名Plastikman本人まで、Richieのお眼鏡にかなった超高品質のディープミニマル/クリックをアナログより1曲多い11曲収録!聴きこむ度にハマってしまう曲ばかりで全曲◎ですが、特にRun Stop Restoreの曲はファンキーで素晴らしい!Plastikmanの曲もディープ過ぎてスゴイ曲です!
http://www.cisco-records.co.jp/cgi/title/techno/detail_132093.php

リッチー・ホーティンのレーベルから音響系的なミニマル・テクノを集めたコンピレーション。もはやこうなると音楽ではなく”唸り”とか”響き”とか”木霊”としか言いようの無いパルス音の連なりである。限りなく無味無臭で湿度ゼロの乾ききった音、であるがいっそ砂漠を眺め渡しているような清々しささえ感じる。脳内のシナプス発火は案外こういう音をさせているのかもしれない。


■Sound of the Third Season / RICHIE HAWTIN + SVEN VATH

Sound of the Third Season

Sound of the Third Season

「イビザ」が金儲け主義の企業やポリシーもリスペクトもない傍若無人な観光客に占拠されてしまった今、ヨーロッパのクラバーを喜ばせたのが、フランクフルトで活動するテクノ・マエストロ、スヴェン・ヴァス、その彼が主宰するイベント&クラブ「コクーン」を共にバックアップするリッチー・ホーティンである。この二人がフィーチャーされた今作は今年コクーンを盛り上げたベスト・チューンのショウケースであり、まさにコクーン・クラブにいるかのような臨場感。Sven、Richie、Pascal Feos、Alter Egoなどをフィーチャーした2002年のコクーンが今やイビザを代表するベスト・クラブであることを証明する作品だ。
http://info.hmv.co.jp/p/t/104/050.html

2002年とちょっと古いDJMIXになるのだが、今聴いてもその新鮮さは格別。どちらかというとリッチー・ホーティンはスーパーバイザー的な役割をしているような気がするのだがどうだろう。だからMIXの感触はどちらかというとスヴェン・ヴァースのもの。しかしその辺の凡百なトランス・ミュージックとは一味も二味も違う深みとスピード感溢れるMIXは有無を言わせず聴かせてしまう。


■From Within 3: Silent Intelligence / PETE NAMLOOK + RICHIE HAWTIN

From Within 3

From Within 3

オリジナルFAX盤は97年、MINUS盤で00年にリリースされていたナムルックとリッチーホウティンの競演盤が久しぶりに再発! FAXは常に800〜2000枚の限定リリースで再発の際にはジャケットもそっくり変える、再発のタイミングは気まぐれ‥というなんとも「らしい」リリース形態ではあります。アンビエントのナムルックとミニマルのリッチーのコラボ、という単純な足算のサウンドにはなっておらず、ほぼ全編ビートなし、ゴシックな美意識を感じさせるシンフォニックな作りこまれた曲や低音がミニマルにうねる酩酊音響など、趣向のおもむくままに紡がれたサウンドをコンパイルしたような作品です。
http://diskunion.net/clubt/detail.php?goods_id=CM-0010085

一聴してみるとアンビエントのようにも聴こえるが、さらさらと引っ掛かり無く流れていってしまうムードミュージックの様なアンビエントテクノとは一線を画する造りはさすがリッチー・ホーティンかと。そしてノンビートなのにも拘らずここまで聴かせるのは彼独特の異様な緊張感が音の中に横溢しているからなのだろう。