週末にでも飲みに行かないか、とメールしたら、金曜日は空いてないの、と返事が来た。「でも土曜日は空いてるけど。どうします?」そして、映画観に行く事になったんだ。休日に会った事は無いわけではないけれど、それはイベントがあったから、仲間と一緒に出掛けたのだ。二人で休日を過ごしたことは無い。
昨日「明日どうするの?」と電話したら飲みに行った帰りらしくやたら機嫌が良い。聞くと一人で飲んでたらしい。「なんだよ、誘ってくれればよかったのに」と言ったらクククとか笑いながら「そーだよねー」とか言っている。腹にイチモツ溜めない人だから一人酒でも明るい。「酔っ払いの話でごめんねー」「いいよ、オレも素面でも酔っ払ってるといわれるバカ野郎だから」「私って変ってます?」「全然。オレなんかもっと変ってる」。そうだな。二人ともジャンルが特殊ですね、と誰かにいわれた事もあったしな。
10時55分の回を朝10時半に待ち合わせる。結局、彼女が来たのは11時だった。「早く起きたんだけど、部屋でまったりしていた」とか言っている。女の子の遅刻というのはこの宇宙の常識であると思っているので不問にする。待つのも役得だ。
映画が終わって、インド料理をナンで食おう!と約束していたので知っている店に行く。オレと付き合わされた人間は必ずカレーかピザを食う事になっている。これもこの宇宙の法則なのである。カレー美味しゅう御座いました。店を出て書店で洋書などを見る。そのあと手近のカフェレストランに入って茶なんぞをしばく。5時まで喋って今日はお開き。これからバイトだという。「また会える?」「バイトの休み探しときます」そして駅で別れる。
「休日に待ち合わせして」「お茶して」「映画観て」「お食事して」…これは通常「デート」と呼んでいいのではないか。「な、オレら、デートしてるんじゃね?」と訊くと「まさか。違いますよ」と言われたんだが、そうか、そうなのか…?
一人電車に揺られながら名付けがたい感情がチリチリ自己主張しているのを感じたが、取りあえず無視する。こういう時って、どう感じればいいんだ?
綾波「ごめんなさい。こういう時、どういう顔していいかわからないの。」
シンジ「笑えば…いいんだと思うよ。」
そうか。笑えばいいんだ。