ウィル・フェレル、ライアン・レイノルズ主演のApple TV+映画『スピリテッド』を観た

スピリテッド (Apple TV+映画) (監督:ショーン・アンダース/ジョン・モリス 2022年アメリカ映画)

Apple TV+配信映画『スピリテッド』はある人でなしの男がクリスマス・イブに4人の幽霊から戒めを受け、悔い改めよ!と迫られるというディケンズ小説『クリスマス・キャロル』を、現代を舞台にアレンジしたコメデイ作品。とはいえ現代的に一捻りも二捻りもしているところがミソ。

これも配役が豪華で、ウィル・フェレルライアン・レイノルズオクタヴィア・スペンサーらが出演している。さらに観始めて知ったのだがなんとこれがミュージカル作品、オリジナル楽曲は『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』の作詞、作曲を手がけたジャスティン・ポールとベンジ・パセックが担当しているのだとか。配信映画でミュージカルって結構珍しくないですか。そしてこのミュージカルシーンが吃驚するほどクオリティが高い。

亡霊ジェイコブ(ウィル・フェレル)は霊界で「魂救済チーム」の一員として働いていた。このチームはクリスマスイブが近付くと現世で悪辣な人生を送る者の前に現れ、その魂を更生させるのが仕事だった。今年選ばれた「救済すべき魂」の持ち主は、SNSに憎悪をばらまくメディア・コンサルタントのクリント(ライアン・レイノルズ)。しかし口八丁手八丁のクリントにジェイコブはまるで太刀打ちできない!?というのがストーリー。ウィル・フェレルライアン・レイノルズがボケとツッコミとなってドタバタを演じるのが楽しい作品だ。

良心についての物語ではあるが、それをストレートに物語ってしまうと説教臭いものになってしまう。しかしこの作品はそこをアレコレと弄って、捻くれた展開になっている部分が可笑しみを生み、さらに現代的なものとなっている。なにしろ説教される側のクリントに「俺ばかり責めるけどあんたはどうなんだよ?!」と切り返され、思わず自省し悶々としちゃうジェイコブが可笑しい。実はこのジェイコブ、生前はある隠された顔を持っていたのだ。

つまり「良心について説教垂れる者の良心とは?」という二段構えの構造になっており、それにより一つではなく二つの救済を描く部分で技ありの物語になっている部分が面白い。クリスマスがテーマだと子供向けだったり家族向けだったりするものだが、この作品はミュージカルシーンも含め大人向けのファンタジーコメディとなっていた。お勧めしたい良作です。


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