ロキ<シーズン1 > (Disney+ドラマ) (監督:ケイト・ヘロン 2021年 アメリカ製作)
MCU映画に登場するスーパーヒーロー、マイティ・ソーの義弟であり、憎たらしくもまた愛すべき悪党でもあるロキを主人公としたドラマです。とっくの昔に配信されていたんですがなんだか見逃がしていて、このたび<シーズン2>が配信されることになり慌ててこの<シーズン1>を観ることにしました。ロキは映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』であんなことになっちゃうんですが、ドラマ自体は2012年の『アベンジャーズ』前後の時間軸にあるみたいですね。
物語は時空を行き来していたロキがマルチバースを監視する時間変異取締局(TVA)という超時空特殊組織に囚われ、破綻しつつある時空構造体を危機から救う羽目になってしまうというもの。このドラマ、なによりTVAのレトロフューチャー感溢れるプロダクツデザインが最高にイカシている部分で既に勝っていますね。主人公ロキの善とも悪とも言えない曖昧なキャラも面白いですし、他の登場キャラもミステリアスで魅力的なんです。特に途中からキー・ホイ・クァンが出演し始めたのは嬉しかったな。
物語も、マルチバースという今現在進行中のMCU映画の核心となる部分を描いているのですが、全体的に見るならロキを無視すればMCUぽくないドラマである部分が逆に楽しい。この物語、MCU要素を除外して「多次元宇宙を監視する超時空組織の物語」というSFドラマとしても十分通用する骨子を持っているんですよ。そしてMCU的に見るなら、あのロキが物語を通じて心境を変化させていく、という描写がとても優れていますね。
ところがクライマックス、今後のMCUの命運を握るらしい謎の存在「在り続ける者」が登場した段階で物語が「いつものMCU」と化してしまい陳腐化するんですよね。まあ要するに次のラスボス「征服者カーン」(の変異体)ということなんですが、こいつがヘラヘラしながら思わせぶりな事をペチャクチャ喋り回るだけの軽薄そうなヤツで少しも強そうじゃないの。で、続けて<シーズン2>も観始めたんですが、この「在り続ける者」を中心に話が回り始めるんだけど、なんか退屈なんだよな……。