ブラック・アダム (監督:ジャウム・コレット=セラ 2022年アメリカ映画)
スーパーマンやらバットマンやらを擁するDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)の新スーパーヒーロー映画『ブラック・アダム』を観てきました。この作品、なんといっても主演があのドウェイン・ジョンソンで、おまけにヒーローはヒーローでもアンチヒーローだっていうじゃありませんか!いやこりゃ愉しみだわ!というわけでIMAXで観てきましたよ!
《物語》5000年の眠りから目覚めた破壊神ブラックアダム。かつて彼の息子は自らの命を犠牲にして父を守り、その力を父に託した。ブラックアダムの力は、息子の命と引き換えにして得られたものだった。そのことに苦悩と悔恨を抱えるブラックアダムは、息子を奪われたことに対する復讐のため、その強大な力を使って暴れまわり、破壊の限りを尽くす。そんなブラックアダムの前に、彼を人類の脅威とみなしたスーパーヒーローチーム「JSA(ジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ)」が立ちはだかる。
最初に言っちゃうといやもう最高でした!DCEU、MCUを含むここ1、2年で公開されたスーパーヒーロー映画の中でも群を抜いて面白かったんじゃないかな(ちなみにここ1,2年で公開・リリースされたスーパーヒーロー映画の中でオレが好きなのは『ザ・バットマン』と『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』かな。ハッ!どっちもDCEU!?)。
なんと言ってもですね、なにしろブラック・アダムが強大かつ無敵の極致なんですよ!彼が登場するシーンはもう破壊に次ぐ破壊!殺戮に次ぐ殺戮!ハリケーンのように全てを薙ぎ倒し、火山噴火のように全てを火の海に沈め、巨大隕石のように全てを粉微塵にするんです!その圧倒的なパワーが生み出す一騎当千の全能感は、観ていてうっとりと陶酔させられるほどの快感に満ち溢れているんですよ!
なにしろ主人公たるブラック・アダムにとって「正義」なんてどうでもいいことなんです。彼の基本たる行動原理は「ガチャガチャ歯向かってくる奴らはクソウゼエんでとりあえず徹底的に叩き潰す」であり、「過去にちょっくらイチャモンつけてくれた野郎がいたんで探して地獄に堕とす」なんですよ。実際オレもスーパーヒーロー映画につきものの「正義」ってぇヤツが時々鬱陶思ってたので、ブラック・アダムのこの「正義とかいうゴタクに一切関心が無い態度」にはひたすら清々しいものを感じましたね!
そういやブラック・アダムの「ドアは開けない、壁を破壊して部屋に入る」って、これもうターミネーターの再来なんですよね。ブラック・アダムにはターミネーターのような「究極殺戮破壊兵器」の無慈悲さ、クールさがありますよね。理屈なんか二の次の「破壊への意思」を感じるんですよね。こんなブラック・アダムを演じるドウェイン・ジョンソンが大いに役にハマっていて、昨今のスーパーヒーローものでも最高の当たり役なんじゃないでしょうか。そもそもドウェイン・ジョンソンの主演する映画はどれも間違いないんですよね!
そんなブラック・アダムを阻止するためJSAなる正義の組織に所属するスーパーヒーローたちが派遣されるんですが、実はこれが最初に思っていたよりも相当にカッコよかったのが映画のもう一つの魅力でしたね。ホークマン、ドクター・フェイト、アトム・スマッシャー、サイクロンの4人がそれなですが、アメコミに詳しくないオレには「なんかいろいろMCUとキャラが被ってる気が」とか無知極まりない事を思っていたのですが、いざ彼らが画面に登場しブラック・アダムと熾烈な戦いを繰り広げだすと、それぞれのユニークな戦いぶりに唖然呆然拍手喝采でした!
結局ブラック・アダムとJSAスーパーヒーローたちは究極の敵を倒すために「敵の敵は味方」とばかりに共闘しますが、だからといってブラック・アダムはやはり「正義のヒーロー」とは外れた立ち位置に居続けるのもキャラの筋が通っていて気に入りました。物語は後半若干シナリオの乱れとテンポの悪さを感じさせる部分もありましたが、全体において流れるような戦闘シーンと素晴らしいVFXが躍り、これまで観たどんなスーパーヒーロー映画も超えてしまうような瞬間を味わうことができました。総評するなら「最高だったぜブラック・アダム!」ということになるでしょうか!(最初に言ってるじゃん!)