最近観たホラー映画とかソレ的なナニカとか

昔はオレも割とホラー映画を観ていたものだが、ある程度いい年齢になってからまるで観なくなってしまった。それは単純に、「怖くて観ていられない」からである。「キモチ悪い映像に本当にキモチ悪くなってしまう」からである。年を取ってヤワくなってしまったのである。

そんなオレではあるが、SNS等ネットでの評判がいいホラー映画はなんとなく気になってしまい、こうしてこっそり観てはいるのだ。また、ホラーとは言っても、比重がサスペンスや超自然現象にあって、必ずしも恐怖や肉体破壊ではない作品なら観ることはできるのだ。

そんな具合にして最近観たホラー映画作品をなんとなく羅列してみる。

ブラック・フォン(監督:スコット・デリクソン 2021年アメリカ映画)

ジェイソン・ブラム製作、『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督によるサイコスリラー。マジシャンだという男に拉致され、地下室に閉じ込められた少年・フィニー。すると突然、黒電話のベルが鳴り、死者からのメッセージが聞こえてくる。

S・キングの息子ジョー・ヒル原作のホラーだがオレ実はジョー・ヒルが好きじゃなくてね。アイディアが幼稚だし構成もイビツで素人臭いんだよ。けれどこの映画はジョー・ヒルのそんなイビツな構成力を、逆に目新しい視点として物語に持ち込むことで成功していると思えたな。子供専門の誘拐殺人鬼の話ではあるんだけど、軸足はそこになくて奇妙な超自然現象の話になってゆくんだよ。この「なんか変な流れ」がいいんだ。

TITANE/チタン (監督:ジュリア・デュクルノー 2021年フランス映画)

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  • ヴァンサン・ランドン
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幼い頃に交通事故で頭部を負傷し、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。以来、“車”に対して異常な執着を抱くようになっていた。ある日、追われる身となり逃亡を図る彼女は、少年の姿となって孤独な消防士ヴァンサンの前に現れる。ヴァンサンはアレクシアを10年前に失踪した息子と思い込み、2人は奇妙な共同生活を始めるのだったが…。

カンヌ映画祭パルムドール受賞ですがその内容はグログロ変態映画。とはいえ単なるキワモノかと思っていたらそれだけの物語じゃなく、先の読めない展開に最後までグイグイ引き込まれて観てしまい、変態映画だというのにラストは荘厳ですらあった。意味はよく分かんなかったがなんか凄いもん見せられた感じ。ホラーってわけではないんだが、まあホラーでもいいかな。

炎の少女チャーリー (監督:キース・トーマス 2022年アメリカ映画)

『透明人間』のブラムハウスがスティーブン・キングの傑作を再映画化したサイキックススリラー。不思議な能力を持つ少女・チャーリーは、その力を軍事利用しようとする秘密組織から追われる身に。父・アンディはチャーリーを連れて逃げ出すが…。

S・キングの原作はオレの最高に好きなキング作品の1つだけれど、1984年にドリュー・バリモア主演で映画化された作品は相当ガッカリだったよ。特撮がチャチかったのと、ドリュー・バリモアが健康的過ぎてホラー作品の陰鬱さが伝わってこなかったからだな。今作は再映画化という事になるけど、1984年版での不満点が刷新されている分結構面白く観られたよ。

キャメラを止めるな! (監督:ミシェル・アザナビシウス 2022年フランス映画)

日本で大ヒットした映画「ONE CUT OF THE DEAD」がフランスでリメイクされることになり、30分間生放送のワンカット撮影を依頼された監督。監督志望だが空気の読めない彼の娘と、熱中すると現実とフィクションの区別がつかなくなってしまう妻も加わり、撮影現場は大混乱に陥っていく。 

日本で大ヒットしたゾンビ映画カメラを止めるな!』のフランスリメイクだけど、映画のシチュエーション自体が「日本で大ヒットしたゾンビ映画カメラを止めるな!』のフランスリメイクの現場」ってのがまず可笑しくて、そしてオリジナルと違う展開の部分に感心して観ることができたな。これ、映画愛のお話なんだね。

ウォーハント 魔界戦線 (監督:マウロ・ボレッリ 2022年アメリカ映画)

『レスラー』のミッキー・ローク主演による戦争アクションホラー。1945年、墜落した輸送機を捜索する米軍のブリューワー軍曹たちは、墜落機の残骸を発見する。しかしそれ以降、幻覚を見るようになった兵士たちは狂気に捕らわれ…。

「第2次大戦の戦場に超常現象が!?」というお話なんだが、舞台や設定が古臭くアイディアにも別段目新しさはないんだけれども、だからこそ逆にB級ホラーとして安心して観ることができたな。あとミッキー・ロークが出ていたのもポイント高いけど、主役ではなくてチョイ役なので注意。

サイコ・ゴアマン (監督:スティーヴン・コスタンスキ 2020年カナダ映画

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  • ニタ=ジョゼ・ハンナ
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庭で遊んでいた少女ミミと兄のルークは、ひょんなことから宇宙屈指の残虐モンスターの封印を解いてしまう。地球どころか宇宙全体が危機に陥るほどのモンスターだったが、ミミが偶然手にした宝石の持ち主にだけは絶対服従だった。

SNSでやたら評判が良かったのでなんやねん?と思っていた作品で、やっとレンタルで視聴できたんだがこれがもう最高!言ってしまえば「アラジンと魔法のランプ」のゴア・バージョンをひたすらローテクで日本の戦隊ヒーロー的に展開した、という作品なんだが、ギャグと馬鹿馬鹿しさとグロのバランスが絶妙で、あー80年代辺りってこういうホラー多かったよね!てな気にさせられ、これがまた郷愁を誘うんだよな。なにより主人公少女の暴力的なまでの野蛮さがとてつもなくて、宇宙の悪魔すら霞んでしまう部分がイカシていた!

スターフィッシュ (監督:A.T.ホワイト 2018年イギリス・アメリカ映画)

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  • ヴァージニア・ガードナー
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親友が亡くなったことによる深い喪失感を抱えるヒロインが、人々が忽然と街から消え、不気味な怪物が徘徊するSF的設定の中で繰り広げる心の再生を、幻想的な映像表現とともに描き出した異色の青春映画。主演は「ハロウィン」のヴァージニア・ガードナー。監督は本作が長編デビューとなるA・T・ホワイト。

なんつーかそのーいわゆるセカイ系のお話でありまして、やたらめったらエモくてナイーブでうんざりさせられました。「かせっとてーぷをあつめてせかいをすくうの」とか言ってるんですが意味不明で、だいたい生きる気力の無い奴に世界を救うとか言われてもなあ。監督にはMMFRを100回観て出直せと言いたい。

ポゼッサー (監督:ブランドン・クローネンバーグ 2020年カナダ/イギリス映画)

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鬼才、デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグ監督によるSFノワール。第三者の人格を乗っ取り、殺人を行う遠隔殺人システムで任務を完遂する女暗殺者・タシャ。しかし、ある任務をきっかけに彼女の中の何かが狂い始める。

ただただひたすら暗くグロくどんよりしているだけのお話で、観ていて相当うんざりさせられた。描かれる「遠隔殺人システム」というのも随分回りくどい上にこういうテクノロジーがあるならもっとどうにかなる使い道が沢山あるだろうにわざわざ委託殺人というニッチなジャンルかよ、視野狭いよなあとしみじみ思った。

バーバリアン (監督:ザック・クレッガー 2022年アメリカ映画)

面接のためデトロイトに来た若い女性が深夜に予約した宿泊先に到着すると、手違いなのか既に見知らぬ男が泊まっていた。不本意ながらもそこで夜を過ごすことにするが、予期せぬ客より恐ろしいものが待ち受けていた。

Disney+の配信で視聴。これね、最初にホラー映画『IT/イット』のペニーワイズ役、ビル・スカルスガルドが出てきた段階で「おおっ!」と思わされるんですが、その最初の「おおっ!」を無視して思わぬ方向に突き進んじゃう、という部分において面白い作品なんですね。その「思わぬ方向」の設定だけだとこれは特に新味はないんですが、こういった二段構えの驚きを持ってきたことで成功した作品じゃないですかね。