ボルケーノ・パーク (監督:サイモン・ウェスト 2019年中国映画)
「火山島にテーマ・パークを作ったら火山がホントに噴火しちゃって大騒ぎさ!?」というそもそもの設定自体にツッコミ所満載な映画『ボルケーノ・パーク』を観てまいりました。この作品、中国資本の映画で配役もほぼ中国人なんですが、監督を『コン・エアー』『トゥームレイダー』『エクスペンダブルズ2』のサイモン・ウェストが務め、さらに『ハリー・ポッター』シリーズでもお馴染みの英国俳優ジェイソン・アイザックスが 出演している所が面白いんですね。
物語は単純そのものです。舞台は「天火島」という名の火山島、ここに「活火山の上に建つ世界初の火山テーマパーク」としてリゾート施設が建設され大勢の観光客を集めたのですが、案の定というか言わんこっちゃないといか当然の如く火山が噴火を始め、大パニックに陥る、というものなんですね。主人公は20年前この島の火山爆発で母を亡くし現在火山学者として島に駐留する女性シャオモウ(ハンナ・クィンリバン)とその仲間たち。これにリゾート開発した実業家ハリス(ジェイソン・アイザックス)らが絡んでワチャワチャするというわけです。
「そもそも過去に大噴火を起こしたことのある火山島になんでテーマパークなんか作っちゃうんだよ!?」と誰しも思うでしょうが、そういや「テーマパークに火山噴火が起こって大パニック!」と言えば『ジュラシック・ワールド/炎の王国』という先達が既に存在していましたね!アレも大いに困った映画でしたね!しかし『ジュラシック~』は休火山だったものが噴火したところを、この『ボルケーノ~』はつい20年前に噴火した活火山なんだからその「アホアホぶり」はさらに倍加するでしょう!ただまあ中国さんのやることですからええとゲフンゲフン。
とは言え噴火しちゃったものはしょうがない!かくして物語は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』+『ボルケーノ』+『ダンテズ・ピーク』といった、「火山だ噴火だ火山弾だ!土石流と火砕流も追い掛け回してくる!?うわああああいったどこに逃げりゃあいいんだよ!?」という大パニックを描く「火山噴火ディザスタームービー」の流れを汲む作品として仕上がっているんですね!
見どころとなるのは火山大噴火による未曽有の大災害の有様を最新のCGIでもって迫真の映像として表現している部分です!特に迫り来る土石流と火砕流の映像はオシッコちびっちゃいそうになるぐらい怖い!出て来るモブの皆さんはこれでもかこれでかとバタバタ死んでゆきます!そういった部分で「アトラクション・ムービー」として割り切れば結構楽しめるやも知れません!さらにサイモン・ウェスト監督によるハリウッド流アクションも炸裂しドキドキハラハラ感も加味されます!……とはいえ中国資本のせいか少々モッサリした印象でもあるんですが。
そうそう、こういった映像面では見られる部分もあるんですが、なにしろ雑な物語展開と中国作品らしいどうにもウェットな人間関係描写がなーんだかシラケさせられる映画でもあるんですよねえ。しつこいぐらい語られる「火山噴火で母を亡ったことの悲しみ」とか「父やら家族やらへの思い」とか、そういった「絆だああ!絆なんだあああ!!」とかいうメソメソしたことを延々やらかされるもんですから、見ていて「もうええわ……」って気分になってくるんですよ。
オレは中国資本の入った映画作品は否定しませんし、中国資本の入った『トランスフォーマー/ロスト・エイジ』や『スカイスクレイパー』は結構好きな映画でもあるんですが、時として同じ中国資本の入った『MEG ザ・モンスター』みたいなシャープさの足りない大雑把な映画になってしまうことも否めないように感じます。
これ、中国資本がどうとかいうよりも、「中国でウケそうな過剰過ぎるウェット要素」がことアクション映画に関してはヌルくなっちゃう結果となっている、そしてそういうウェット要素がオレはとても好きではない、ということなんですよ。しかし逆にそういった情緒性は人間ドラマの映画であるなら大いに功を奏していると感じます。あとまあとりあえず美男美女を配した中華俳優にもどうにもリアリズムを感じなくて、これもノレなかったなあ。あのスーパーマンみたいな爺さん(主人公の父親)の活躍は大いに楽しめたので、やはりここは配役の存在感の問題だと思うんだがなあ。そういった部分で結構残念な映画ではありましたね。