■バーニング 劇場版 (監督:イ・チャンドン 2018年韓国映画)
村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作とした韓国映画『バーニング劇場版』を観たが……うわああなんだこの得体の知れない不安感は。それだけでなくじっとりと身にまといついてくるような居心地の悪さや、もやもやした飢餓感も醸し出している作品だ。主人公は作家になりたいとか言ってるけどなんだかよく分からない。彼は自分で思ってる以上に孤独で世界が狭くて閉塞感たっぷりの青年だ。恋人だと思っていた女性はどこかフワフワとしていて何考えてるのかよく分からない。その二人にキラキラした金持ちの青年が絡んでくるが、この男はどうやって金稼いでるのかよく分からない。上辺だけ見ると三角関係の話だが金持の男はサイコパスの匂いがするし、女はどこか夢見がち過ぎで、主人公だけが泥臭い現実に首まで浸かっている。何もかもアンバランスでそれぞれの情緒はいつも食い違い、どうにも薄気味悪い関係性を見せつけられる。この不気味さ、寒々しさがいい。クライマックスは韓国映画風の展開を迎えるが、これはあってもなくてもいい。この物語の基本は世界への掴み所のない違和感や異物感なのだと思う。ちなみに映画を観終ってから原作読んでみたが(もちろんマイルスの『死刑台のエレベーター』を聴きながら)、映画はいろいろ脚色されてはいたけれども「掴み所のない違和感」といったラインは外していない。それにしても観終わってからじわじわ胸糞悪くなってくるオハナシだな。村上春樹原作胸糞映画。(否定してない)
■エクストリーム・ジョブ (監督:イ・ビョンホン 2019年韓国映画)
犯罪組織を監視するため唐揚げチキンの店を買い取り店員のふりをする警官チームだったが、その店が大繁盛してしまい大わらわ!?本業そっちのけでチキン店を切り盛りする警官たちの明日はどっちだ!?という大ヒット・コメデイ映画『エクストリーム・ジョブ』、いやこれホント面白かった!韓国映画はまずシチュエーションの斬新さ面白さで作品を際立たせるが、この作品ではその後も細かい笑いをチクチクと盛り込んでゆき、あれよあれよと物語の虜にしてしまうんだね。実はあんまり面白過ぎてレンタルで観た後DL購入までしてしまったが、2回目で観てみるとこれがどれだけ絶妙なタイミングと緻密な演技の積み重ねで笑いを成り立たせていたのかが理解でき、さらに2回目でも大笑いしてしまった。これ、ドリフ的な、リハにリハを重ねまくり完璧な形にして提出された、実に技巧的なコメディなんじゃないかな。
■ザ・ネゴシエーション (監督:イ・ジョンソク 2018年韓国映画)
韓国映画『ザ・ネゴシエーション』を観た!ソウル市警女性警部補が交渉人として駆り出されたその拉致事件は犯人の要求が明らかになるにつれ次第に信じがたい闇の側面を浮き彫りにし始める!タイムリミットは14時間、二転三転する白熱の交渉と次々に明らかになる驚愕の新事実に決して目が離せない!
■プランマン 恋のアラームが止まらない! (監督 ソン・シフプ 2014年韓国映画)
超几帳面&超潔癖症の変人君がやっとの思いで意中の女子に告白するがそれはとんでもない災難の始まりだった?!爆笑に次ぐ爆笑で腹筋がよじれまくる韓国コメディ『プランマン 恋のアラームが止まらない!』、ヤバい程の面白さに驚かされつつ後半明かされる彼のトラウマに涙が止まらない!大傑作!いやしかしこれホントにシナリオが秀逸で最初提示された変人君の設定からさらに話をどんどん膨らませ様々なエピソードをぶち込み人生の喜怒哀楽のあらゆる側面を描き出し思い切り笑わせながら心に残り心をえぐる実にラブリーな物語として完成していた!みんなも観よう!
■スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班 (監督:ハン・ジュニ 2019年韓国映画)
はぐれ刑事たちが実業家の起こした引き逃げ隠蔽事件を追う!という韓国映画『スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班』を観た!はぐれ刑事たちの暴走し過ぎの捜査とサイコな犯人との暴走しまくるカーチェイス、背後に隠された巨大な巨大な陰謀!これは韓国映画版『ワイルドスピード』じゃないか?!上映時間133分の中にドラマと人間関係とどんでん返しを詰め込み過ぎと思っちゃうほど詰め込み、刑事も犯人も両方度が過ぎててリアリティがぶっ飛んじゃってるが、エンタメアクションとして充分振り切ったいい作品なんじゃないのか?!
■地球を守れ! (監督:チャン・ジュナン 2003年韓国映画)
「地球は宇宙人に侵略されてイル!そしてお前はその宇宙人ダ!俺は地球を守るんダアアア!」そしてどっかのオッサンを拉致し血みどろの拷問を繰り広げる主人公!妄想か狂気かはたまた真実か?!韓国映画『地球を守れ!』はカルトな匂いすらする電波系SFサスペンスだ!?モルダーあなた疲れてるのよ!ネットの作品紹介文にコメディってあるけどコメディのかけらすらない血みどろ拷問サイコ映画だからな!そして多分韓国映画史上最悪のラスト!
■国家が破産する日 (監督:チェ・グクヒ 2018年韓国映画)
1997年の韓国通貨危機を描く『国家が破産する日』観た!金融も投資も韓国経済にも全く知識が無いにも関わらず「何かとんでもない事が起こっている」という異様さと緊張感はバシバシ伝わって来て、最後までガッツリ引き込まれて観てしまった。なによりエンタメとしても非常に巧みに作られていている。物語は困窮にあえぐ労働者、正しい対応を求める銀行チーム、危機に乗じて勝負に出る金融コンサル、政財界トップの糞野郎が登場し、並列して描かれるその図式が分かりやすくダイナミックなドラマを生む。この中でオレは抜け目ない金融コンサルに一番感情移入したな。それにしても一部でクソ呼ばわりされているIMFが出てきて噂通りクソだったので思わずブハッと笑ってしまった。
■安市城 グレート・バトル (監督:キム・グァンシク 2018年韓国映画)
西暦645年、高句麗に攻め込んだ唐との攻防を描く実話を元にした歴史ドラマ。上映時間136分の殆どが攻城戦で、そしてこれが燃えるんだ!そもそも攻城戦映画ってのは、『ロード・オブ・ザ・リング』にしろ『キングダム・オブ・ヘブン』にしろ『バーフバリ』にしろなにしろスケールがでかくて金掛かってて非常に楽しめる。あと山の様な数が兵士が次々と虫けらのように死んでいく、というのがいいね!「攻城戦映画」ってジャンルで映画をまとめてみたいぐらいだな。クライマックスにはとんでもない作戦も描かれるが、これも史実なのらしくびっくりした(ヤシの木カタパルト作戦じゃないよ!)。