【ブルース・リー 4Kリマスター復活祭2020】ファイナル作品『死亡遊戯』を観たぜッ!ウォオゥリャアアアアア!!!

死亡遊戯 (監督:ロバート・クローズ 1978年香港映画)

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ブルース・リー 4Kリマスター復活祭2020】、ファイナル・ラウンドはリーの死後製作された『死亡遊戯』。これでリマスター復活祭全4作オール・コンプリートとなる。

改めて書くとこの『死亡遊戯』、1972年にアクション・シーンだけ撮影され未完成だった作品を、リーの死後新たに脚本を書き上げ、過去の作品のコラージュやリーの代役俳優を立てて、5年の歳月をかけて製作された作品となる。リーの本来構想したものと異なる作品ではあろうが、彼の最後の遺産という形で完成したものなのだ。完成した作品は日本でも1978年に公開され大ヒットしたのだという。

とはいえ、この作品はオレが唯一劇場で観ていないブルース・リー映画である。前情報からどことなく「リーの過去作をつぎはぎした映像とあまり似ていない代役と間に合わせのストーリー」で構成されたバッタもののような映画に思えてしまったからだ。公開後しばらくしてからレンタルで観たけれども、オレには惨憺たる作品に思えた。

実際、リーが撮った映像はクライマックスの部分12分しか使われておらず、リーの代役として出演した俳優(タン・ロン)はやはりあまり似ていなかったのか画面にきちんと顔が映る事が殆ど無く、そのせいでアングルや話の流れがいつも不自然で、いかにも「代役です」と喧伝しているかのようにすら思えてしまった。オレのブルース・リー熱も殆ど冷めていたこともあって、この映画への評価は限りなく低かった。

といった経緯があったものだから今回あまり期待せずに劇場に足を運んだのだが、これが今観ると、以前の感想が180度変わって、「十分頑張った作品じゃないか」と思えてしまったから不思議なものである。

まず代役俳優タン・ロンが、思ったほど悪くないのだ。アクションも演技もきちんとこなし、リーに匹敵するとまでは言えないにせよ、エキサイティングなカンフーシーンを見せてくれていた。バルクールを演じる身のこなしの軽さなどはほぼリー並みだったのではないか。特に中盤のロッカールームの戦い、後半のバイク軍団との戦いは、タン・ロンのアクションだけで十分もたせられていたし、大いに物語を盛り上げていたではないか。確かに顔はそれほど似ていないが、「ブルース・リーの代役」という困難な役を堂々と演じてみせた彼のことを考えると、あえてはっきり顔を出して演じてもよかったのではないかとすら思った。このタン・ロンについては、彼の出演した別のカンフー映画が見たくなったほどだ。

それと、これは初見時には知らなかったのだが、この作品にはサモ・ハンが出演しており、なかなかに見せるファイトを演じてくれており、映画の興奮を倍加させることに成功していた。また、実際には確認できなかったが、リーのスタント役としてユン・ピョウの出演もあったのらしい。むしろこういった香港カンフースターを多く登用して作品に花を添えるといった方法もあったかもしれない。

しかしなにより、クライマックスにおけるリーの実際のファイトシーンだ。たった12分とは言え、ここにこの映画の全ての魅力と存在意義が込められているのだ。本物のリーがその姿を現した時、画面がグッと締まり、観る者の歓喜と緊張感も最大限に高まってゆく。ある意味ここを観るためにこの映画を観に来たわけだからだ。そしてなにより、あの黄色のトラック・スーツ!ヌンチャクと並びブルース・リーの代名詞ともなったあの姿で戦うリーの姿はどこまでも神々しい。これが彼の姿を見る事のできる最後の作品であるといった事実も余計に感慨を深める。大昔観た時には「寄せ集め映像の作品」だなどと思ったのだけれども、結局ブルース・リーの主演映画はこれを含めたったの5作であり、そしてたったの5作で全ての伝説を作ってしまった男の、貴重な作品の1本と見るなら、この作品を否定できるわけがない。

この作品を観たもう一つの理由は、映画におけるポップ・アイコンと化した「黄色いトラックスーツ」でリーが暴れまわる映画を、きちんと劇場で観ておきたかったというのがあった。オレはこの「黄色いトラック・スーツ」がオマージュとして登場する『キル・ビル Vol.1』や『少林サッカー』といった映画がたいそう好きなのだが、これのオリジナルとなった作品を御座なりにしてそれらを評価するのは筋が通っていないのではないかと感じていたのだ。そして今思うなら「ヌンチャク」「黄色いトラック・スーツ」といったアイコンを創出し強烈に記憶に残るものとしたリーの先見性や発想力が、どれだけ優れていたのかを思い知らされることとなったのだ。

リーの生誕80周年、没後47年の年に、こうして映画界のレジェンドの作品4作が劇場公開され立て続けに観られたたことは、非常に意義深いものに感じた。ブルース・リーの前にブルース・リー無く、ブルース・リーの後にブルース・リー無し。リーの作品は、やはり永遠のものなのだ。

 
映画『ブルース・リー 4K リマスター復活祭2020』予告編

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