最近ダラ観したDVDやらなにやら

■ボーダー 二つの世界 (監督:アリ・アッバシ 2018年スウェーデンデンマーク映画

ボーダー 二つの世界 [Blu-ray]

ボーダー 二つの世界 [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: Blu-ray
 

スウェーデン産ホラー『ボーダー 二つの世界』観た...。「特殊能力を持つ醜い女」が主人公という段階から既に不穏過ぎる物語はやがて『シェイプ・オブ・ウォーター』を思わす「異形の愛」へと雪崩れ込み、さらにそれは神話伝承世界の闇に落ちてゆく。グロでは無いが心理的・生理的にエグいシーン多数。原作は『ぼくのエリ 200歳の少女』のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。『ぼくのエリ』同様暗く寒々しくうら寂しい物語だが、しかしこれだけおぞましいにも関わらず本質となるテーマは「私とはなんなのか」というアイデンティティを請い求める者を描いた作品なのだ。ただ何しろ生理的にキツかった…

■帰ってきたムッソリーニ (監督:ルカ・ミニエーロ 2018年イタリア映画)

帰ってきたムッソリーニ [Blu-ray]

帰ってきたムッソリーニ [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: Blu-ray
 

『帰ってきたムッソリーニ』観た!なんと『帰ってきたヒットラー』と全く同じ物語構成、というかこれヒットラー版のイタリアリメイクなのね。だが全く同じだからこそどの国でも「(例え危険でも)強力な指導者の待望」が市民に根深く存在する事を浮き彫りにして面白かった。こういう皮肉な話好き。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー (監督:アレクセイ・シドロフ 2019年ロシア映画

T-34 レジェンド・オブ・ウォー [Blu-ray]

T-34 レジェンド・オブ・ウォー [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: Blu-ray
 

T-34 レジェンド・オブ・ウォー』観たッ!!冒頭から今まで見たことも無いような熾烈な戦車戦が炸裂し既にしてクライマックス!?と鼻血が出そうだったけど中盤から設定に難を感じたのと物語が平凡に流れてっちゃったのがちょっと惜しかったな!でもクオリティはとっても高いよ!

 ■聖者たちの食卓 (監督:バレリー・ベルトー フィリップ・ウィチュス 2014年ベルギー映画

聖者たちの食卓

聖者たちの食卓

  • 発売日: 2016/10/21
  • メディア: Prime Video
 

毎日無料で10万食の豆カレーを施すインド寺院を描くドキュメンタリー『聖者たちの食卓』を観たッ!なにしろ10万食!昼夜問わず延々訪れる人たち、延々作られ施される食事、その後の大量の皿洗い、大量の洗浄!ナレーション無しで映されるこれらの情景に圧倒されること請け合い!その背景にあるのは篤い信仰心と人々の互助意識。こういうの観ると豊かさとか貧しさっていったいなんなんだろう、何が基準なんだろうと思えてくる。あとこう言っちゃなんだけど、結構衛生には気を配ってたよ。あとこの食事は主に巡礼者や旅行者に施されるもので別に貧者救済ボランティアというものではない。むしろインドという複雑な国で宗教、カースト、人種、性別、年齢、社会的地位に関わらず平等に同じ食堂で食事をする、という信条のもと、500年も続けられている事なのだ。

善き人のためのソナタ (監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 2006年ドイツ映画)

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

  • 発売日: 2008/11/26
  • メディア: Blu-ray
 

旧東ドイツの秘密警察による陰鬱な監視社会を描いた映画『善き人のためのソナタ』を観たんだが……圧巻だな、素晴らしいよこのドラマ。冷徹な秘密警察官を主人公にしながら「人間の善性って何だろう」と問い続ける物語は人間というものの本質にまで肉薄しようとするのだ。

■ブレスラウの凶禍 (監督:パトリック・ベガ 2018年ドイツ映画)

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ネトフリのポーランド産クライムサスペンス映画『ブレスラウの凶禍』、『セブン』や『ドラゴンタトゥーの女』を思わせるダークなサイコ路線でなかなかにグロくて楽しめるのと、全く可愛げのない主人公女刑事の苦味走ったタフさに大いにヤラレること必至の作品だッ! 

クインテット (監督:ロバート・アルトマン 1977年アメリカ映画)

クインテット [DVD]

クインテット [DVD]

  • 発売日: 2012/07/11
  • メディア: DVD
 

巨匠ロバート・アルトマンによる珍しいSF映画。アルトマンには他に『宇宙大征服』(1968)というSF作品があるのらしい。物語は氷河に閉ざされた近未来の世界を舞台に残された人々が虚無的な殺人ゲームに勤しむというもの。多分低予算なんだろうが衣裳やセットがしっかりしているのがいい。物語にどういった真意があるのか理解できなかったが、小品ではあるがきちんと作り込まれた世界観と、そして主演がポール・ニューマンであるという部分がちょっと見所だった。

シェルタリング・スカイ (監督:ベルナルド・ベルトルッチ 1990年イギリス・イタリア映画)

シェルタリング・スカイ [Blu-ray]

シェルタリング・スカイ [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Blu-ray
 

この『シェルタリング・スカイ』、話題をさらった『ラスト・エンペラー』(これは大好き)の次のベルトルッチ作品で、なおかつ音楽が坂本龍一ということで注目してたんだが、大昔観た時は退屈で30分も観ておれず挫折したのを再挑戦した……が、やっぱりつまらなかったなあ。仕事も結婚生活もダメダメになってるアメリカ人金持ち夫婦が、仕切り直しを兼ねて未開の北アフリカに行くけれど、さらにグズグズにダメになってゆくというお話なんだが、どうもこういった破滅型の物語は好きになれんのだ。最初から物事をよくするつもりのない連中が場所替えただけで何か変わると勘違いしているのがそもそもダメなんだよ。場所を変えたって自分を変えないんだもん。そして異邦に行っても結局自分のちっちゃい内面ばかり見てグチグチ言ってる。異邦に行く意味が全く無いじゃんか。そこがまたダメ。