やられ顔

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この間の休みの日のことだ。喫茶店のトイレにスマホを置き忘れたことを後から気付き、大慌てしてしまったことがあった。

気付いたのは出てから30分ぐらい後だった。こりゃヤバイ、と店に取って返し、トイレに駆け込んだら、置き忘れた”トイレの個室”は使用中で、すぐに確かめる事が出来ない。スマホは既に発見され店に届けられたか?今まさに中の人が発見したか?それともとっくに心無い人にナニされたか?などとあれこれ妄想が駆け巡り、やきもきしながら中の人が出てくるのを待っていた。

しばし後、出て来た方に「中でスマホ見ませんでしたか?」と途中まで言いかけてトイレの中を見たら、オレが置いた状態のままそこにあった。中から出て来た方はオレには無反応でトイレから出ていった。まあ要するに、スマホは無事だった、ということである。

ここで思ったのは、「30分の間に”個室”を使用した人がまるでいなかった」「いたけれども放っておかれた」ということだった。繁華街ではあったが治安が良かったのかもしれないし、そもそも忘れ物に無関心な人ばかりだったのかもしれない。とりあえずスマホは無事だったからよかったのだが、逆に変な気分だった。

やっと一安心ということで店から出ようとしたのだが、この時、頭の中がすっかりパニック状態であったために、店のドアが「手動自動ドア」であったものを「自動ドア」だと勘違いしてしまい、思いっきりドアに顔から突っ込んでしまった。顔に打撃ってキツイよね。特に目のあたりと口のあたりを強くぶつけ、口の中は切っちゃうし下手したら前歯折れてたかな、とも思えた。前歯は差し歯だから弱いのだ。

そんなこんなで一日二日経ち、スマホ事件も記憶の彼方になっていたある日、職場で鏡を覗いていたら、オレの片目の周りに黒マジックでこすったような跡があるのを見つけたのだ。仕事で油性マジックをよく使うので(どんな仕事だ?)、手に着いたまま目をこすっちゃったかなあと最初思ったのだが、黒マジックは使ってないんだよな。で、よくよく見るとそれが、痣だったのだ。そう、何日か前にドアにぶつけた部分だったのである。

この痣というのが上瞼から目尻にかけて出来ていて、遠目だと気付かないし、よく見てもアイシャドウ塗ってるように見える出来方なんですね。まあ片目だけアイシャドウ塗る人はいないし、そもそもオレは化粧する様な男ではないんだけど、どっちにしろ、片目の周りだけ若干黒ずんでいる。痛みも腫れも無く、目立つものでもなかったし、この程度なら一週間もあれば消えるだろうと特に心配もしなかったが、しかし顔に痣こしらえてしまったことにはびっくりした。

この身も世も無い状況をオレは早速相方さんにメールした。「こないだドアにぶつけた片目の周りに痣ができちゃったよ!」。すると相方さんから帰って来た返事が一言、「やられ顔」……。あー、そうだ、この片目の痣、よく漫画で格闘技や喧嘩でやられたことを表現する時に使われるよな!「やられ顔」とは言い得て妙だな!相方さんうまいね!と、鏡で自分の「やられ顔」を確認しながら、変な事で感心していたオレであった。やられ顔……。