アメコミスーパーヒーロー映画『アクアマン』は『バーフバリ』だったッ!?

■アクアマン (監督:ジェームズ・ワン 2018年アメリカ映画)

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■『アクアマン』は『バーフバリ』だったッ!?

「王国の覇権を掛けて争う二人の王子!因縁に満ちた二人の出生!一人は邪な心を持つ無頼漢、一人は野に下った正義の男!命を狙われるその母は目力の強い女王!主人公の助っ人となるのは強力な技を繰り出す王女!そして若き日から主人公に付き従い陰謀の只中に巻き込まれる忠臣!神話を元に作られた壮大な物語!ラストは大軍勢同士がぶつかりあう壮絶なバトル!」
「バーフバリだね!」
「違うよアクアマンだよ!」

・・・・・・

というわけで『アクアマン』観ましたよ!スゲエ面白かったけど!これって『バーフバリ』じゃないっすか!

まずポスターからとっても似てる!「手に握られていたものは、「運命」」

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キービジュアルもそっくり!「瀑布を背景にして似合う漢といえば・・・・・・」

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つまりどういうことかというとですね、『バーフバリ』ファンは『アクアマン』を観に行くといいってことですよ!

■めくるめく色彩に満ちた海中での戦い

非常に楽しめた映画でした。物語は人間と水中人アトランティス人との間に生まれた子アーサーがアクアマンとなって、地上の征服を企む邪悪なアトランティス帝国勢力と戦う、というもの。ヒーロー物語の王道を行くこれら物語は誰もが安心して観られるものでしょう。

メインとなる舞台はもちろん海中なのですが、深海を描くビジュアルがアクアマン視力によりめくるめくような色彩の踊るひたすらファンタジックな映像として描かれており、徹底的にCGで描画されたその「誰も観たことの無い海の中」の情景がなにより目を奪います!

超科学を持つアトランティス帝国の壮麗な建造物や海中を突き進む流線型のヴィークル、古代ギリシャを思わす厳しい甲冑、はたまたストームトルーパーの如きSFチックなアーマーに身を包まれた兵士たち、様々な形態に進化した異形の深海人たちの姿、彼らが操る怪物の如き姿をした夥しい数の海中生物たち、これらがくんずほぐれつとなって戦う様は海の中の『スター・ウォーズ』、深海が舞台の『ロード・オブ・ザ・リング』といった様相さえ呈しているのです!

戦いの舞台は海の中のみに留まりません。なんと砂漠が舞台の探索劇が登場し、さらにシチリア島でのバトルでは因縁の敵ブラックマンタと家屋の屋根を疾走し続ける追跡劇を演じます。オレはついつい『インディ・ジョーンズ』やゲーム『アンチャーテッド』を思い出してしまいました。そしてアクアマン、海の中のみならず地上でも強い!あとは空さえ飛べれば宇宙最強と言ってもいいかもしれません!

■「物語」のアーキタイプを衒い無く描くということ

こういった「楽しさ」をメインに展開する『アクアマン』の物語は、まさにいい意味での「コミック映画化作品」していて、大人ぶった深刻さや重苦しい悲壮感や「人生いろいろあるんだ」みたいな言い訳が皆無な所が他のアメコミヒーロー映画と一線を画していたんではないでしょうか。そこがこの作品のヒットと支持率の高さを生み出したのでしょう。

アクアマンの強さは殆どチート並みで、こいつ弱点とか無いのか?とすら思ったほど。しかし、スーパーヒーローそのものがある意味チートだと考えるならこれは正鵠を射る描き方だったかもしれません。それが爽快感を生んでいるんです。けれども全てのスーパーヒーロー作品がこれだと詰まんなくなるから、この作品はある意味一度しか使えない禁じ手をやっちゃったのかもしれないと思えなくも無いんです。 

物語が『バーフバリ』っぽいっていうのは、マネをしているというのではなく、このテの物語のアーキタイプを衒いなくやっている、ということなんですよね。そしてこの映画ではそれを新奇なビジュアル要素で差別化している。だから物語に新しさは無い作品と言う事も出来るんですが、新しさというのは受け入れられ難いし、さらにこのジャンルの作品に誰も新しさを期待していないという背景もあるんじゃないかと思うんですよ。

■「楽しさ」を追求したそれ以上でも以下でもない作品

そういった部分で遊園地のアトラクションみたいに楽しかったけど、物語的には殆ど感銘を受けたり心に残る部分は無かった、というのが正直なところ。じゃあそれが悪いのか?と聞かれると、いやそういう構造とニーズにあるプロダクトでもないし、楽しめたことを素直に表明するだけでいいじゃないか、という気もするんです。それはジェットコースターに乗って「興奮したけど感銘しなかった!」と言ってるようなものなんです。

とはいえ、引っ掛かりのある部分が何もないという部分、つまりやはり「物語」としては、残念ながらオレ個人としては特に愛着を覚える映画でもないんですよ。むしろ叩かれまくってる他のDC作品の奇妙なバイアスの在り方、なぜかダダ漏れてしまうイビツさのほうに愛着を感じるんですよね。それは【情念の存在】ということであり、先に引き合いに出した『バーフバリ』であれば「復讐」であったり「愛する者を守る」であったりします。それは【人間的要素】ということでもあるんです。『アクアマン』においてはその【情念の存在】が皆無といえないまでも稀薄なんです。

【情念の存在】は多すぎると鬱陶しいものですが、少ないとまた物足りない。気難しく書いちゃうと、びっくりするほどメチャクチャ楽しくて、そしてそれ以上でも以下でも無い、というのがこの作品ではあるんですよねー。メンドクサイヤツですいません!ではお粗末さまでしたー!


映画『アクアマン』US版本予告【HD】 

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