■タイガー・バレット (監督:アフメド・カーン 2018年インド映画)
タイガー・バレット!
奴はインドのランボー!特殊部隊の最終兵器!
タイガー・バレット!
シックスパックの憎いヤツ!笑ってない目が相当コワイ!
タイガー・バレット!
俺の恋人(マブ)を泣かせた奴にゃあ鉄拳と銃弾の雨をお見舞いするぜ!
■ムッキムキのシックスパック野郎タイガー・シュロフ最新作!
2018年にインドで公開され大ヒットを飛ばしたアクション映画、『タイガー・バレット』でございます。主演俳優の名はタイガー・シュロフ、1990年生まれの28歳!2014年のデビュー以来、鍛え上げられた肉体と研ぎ澄まされた格闘技の技で今やボリウッド界隈をブイブイ言わせている男です!おまけにダンスを踊らせりゃあパッキパキに切れ味鋭いステップを見せつける!ただし爬虫類系の死んだ目をしているのがちょっとコワイ!そしてこのタイガー君、2020年公開予定の『ランボー』ハリウッド・リメイクに出演という噂が上っている!!なんてってタイガー君、こんななんですよ!?キャアァ凄い!
そんな大注目なタイガー君の主演第5作目がこの『タイガー・バレット』という訳なんですな。原題は『Baaghi2』、タイガー君の主演第2作目『Baaghi』の続編的なタイトルですが、内容は実は全然関係ありません。しかーし!「ムッキムキのタイガー君がモリモリの筋肉を駆使して悪い奴らを地獄の底まで叩き落す」という点では一緒です!あと「三白眼の瞳が爬虫類っぽくてコワイ」という部分も!
■『タイガー・バレット』はこんな物語だ!
さて『タイガー・バレット』のお話はこんな感じ:
陸軍特殊部隊で今日も御自慢の筋肉を鍛えることに余念がないタイガー君の所に2年前別れた元恋人ネーハー(ディシャ・パタニ)から連絡が入ります。彼女は既に人の妻となっている身ですが、愛する娘が誘拐され、にもかかわらず夫も警察が取り合ってくれない、というのです。もはや頼りになるのはあなただけ……。すわ一大事とネーハーの元へ急行したタイガー君ですが、しかし調査の中で分かったのは、彼女には子供などおらず、当然誘拐事件など起こっていない、という周囲の証言だったのです。
この前半ではあたかもリーアム・ニーソン主演映画『アンノウン』の如く記憶と現実とが違うというミステリーが描かれて行きます。果たしてネーハーは嘘をついているのか?それならなぜ?それとも彼女はなんらかの精神障害なのか?いったいネーハーに何が起こったというのか?疑心暗鬼のまま遂にはネーハーを疑い始めるロニーだったが……というもの。
とまあ謎が謎を呼ぶ展開を見せる前半ですが、実は決して緊迫のミステリ!というわけでもなく、「彼女の身に一体何が!?」と思い切りサスペンスが盛り上がった瞬間突然インド映画名物の歌と踊りが賑々しく始まり、主演の二人が艶やかな表情でステップ踏みまくったり、回想シーンとして学生時代のロニーとネーハーの出会いがキャッキャウフフとかまびすしく語られ、「今時アイドル主演映画だってここまでお花畑に描いたりしねえよ!」と視聴中の皆様を若干イラッとさせる事必至でありましょう!いやしかしそこがいいんです!インド映画だからなんでもアリなんですよ!
ところでタイガー君の話ばかり書きましたが、この作品、ヒロイン役のディシャ・パタニがひたすら美しい!実は彼女、ジャッキー・チェン主演の『カンフー・ヨガ』(2017)にも出演しており、インターナショナルな知名度もこれから上がってゆくのではないでしょうか!
■風雲急を告げ怒涛の展開を見せる後半!
そして後半、色々大変な事態へと発展したこの事件に遂に怒髪天を衝いたタイガー君はマグマを吹き出す噴火山の如く憤怒を爆発させ、警察と軍隊を敵に回して土石流を思わす鉄拳の応酬と、火砕流もかくやという銃弾の雨を降らせるのであります!もはやヤツを止めることは誰もできない!いったれタイガー!いてこましたれやタイガー!奴らをギタギタにしなはれ!
そんな阿修羅の如きインドの鬼神と化したタイガー君が大暴れする様子を描いたポスターがあるので是非ご覧ください!
おおおお!まるでラジニカーント主演のインド映画『ロボット』を彷彿させるマシンガン千手観音状態!(てかいったいどうなってんだ)
まあ正直なところ「なんでお話がここまでド派手な方向へと転がらなきゃならないんだ……」と観終った後に思いましたが、観ている間はゲハゲハ笑いながら楽しんでいたので善しと致しましょう!というか、タイガー君が『ランボー』でハリウッド・デビューする御祝儀として、「その前にこっちでインド版『ランボー』作っちまおうぜ!」というつもりだったんじゃないかと思います。だいたい本家『ランボー』みたいに「大佐の人」が出てきて「ヤツは森の中では一騎当千」とかなんとか言ったりしてたぐらいだし!
そんな訳で物語的整合感は果てしなく乏しいのですが(そもそも「娘誘拐」の根拠がまるで理解不能)、とりあえず鉄拳繰り出す格闘技の技と銃撃戦の弾丸の数でお腹いっぱいになれる、愉快痛快天網恢恢疎にして漏らさぬ娯楽アクションとして十二分に満足できる作品だったと言えるでありましょう!そして!この作品、ランボーみたくシリーズ化されるらしく、原題『Baaghi3』はリメイク版『ランボー』と同じ2020年公開予定とか!おおおう!ってことは来年はタイガー・シュロフ祭りの年ってことじゃないかよ!?東京オリンピックなんてどうでもいいから、早くタイガー祭りに参加させてくれい!!