■Yamadonga (監督:S・S・ラージャマウリ 2007年インド映画)
現在絶賛公開中のマサラ・ムービー『あなたがいてこそ』の監督、S・S・ラージャマウリが2007年に製作し大ヒットしたSFXファンタジー映画『Yamadonga』です(『あなたがいてこそ』のレビューはこちら)。この『Yamadonga』、一度死んだ人間が冥界の神とやりあっちゃう!?という奇想天外な作品なんですが、しかも物語はそれだけじゃない!ということで紹介などを。
《物語》
◎主人公の名はラージャ。物語はまず彼の子供時代から始まります。孤児だったラージャはある日ひょんなことからマヒーという少女を助け、お礼にと神の力が宿るというメダルを貰います。こんなもの価値が無いと何度もメダルを捨てるラージャでしたが、不思議なことにその度メダルは彼の元に戻ってくるのでした。
◎成人したラージャ(ナンダムリ・タラーカ・ラーマ・ラオ・ジュニア=NTR.Jr)は詐欺やコソ泥をやって生活していました。ラージャは泥棒稼業の最中、ギャングから逃げる女性を助け出したましたが、その女性こそは幼い頃メダルをくれたマヒー(プリヤマニ)だったのです。
◎実はマヒーは孤児となり養父母に奴隷のように使われていました。その養父母はマヒーに偽装結婚させ、マヒーの莫大な遺産を奪おうとしていました。ラージャもマヒーの遺産を狙いますが、養父母の送ったギャングの手により命を落とします。
◎そして…ラージャが気が付くと、そこは死の神ヤマが地獄に落とす人間を振るい分ける冥界だったのです!しかしラージャは死の神ヤマを騙し、ヤマの神器を奪うことでヤマと同じ力を得ます。死の神が二人になったことで冥界は大混乱に落ちます。真の死の神はどっちだ!?かくして冥界で死の神同士の戦いが巻き起こるのです!
お話はこんな感じで、「主人公ラージャとマヒーの馴れ初め」「冥界に堕ちたラージャと死の神との対決」「現世に戻ったラージャがマヒーを悪者たちから救うまで」の3つのパートに分けて物語られていきます。こうしてこの物語は、不思議な縁で結ばれた一組の男女が、悪賢い養父母やギャングたちと大立ち回りを演じ、さらには冥界の神まで巻き込んだ、とんでもないスペクタクルとして展開してゆくんですよ!
見所は何と言っても冥界の描写です。古代インド美術を模したであろう冥界のセットは、どこもかしこも黄金と宝石だらけ、眩しくて目が潰れそうなくらいキンキンキラキラと輝きまくり、豪華なようなチープなような派手さに満ち満ちています。オレはこのキンキラの冥界、SF映画『フラッシュ・ゴードン』の悪役、ミン皇帝(暗黒皇帝の写真の人です)の謁見の広間を思い出しました!そしてこの冥界を司る死の神ヤマも、セットとおんなじぐらいキンキンキラキラしまくり、その周りを鬼の格好をした沢山のエキストラがわらわらと群れているというわけなんですね。
どことなく馬鹿馬鹿しさすら漂うこのセットの中で、死の神ヤマともう一人の死の神となった主人公ラージャ(この時ラージャもやっぱりキンキラキンの神様の姿をしてます!)が対決する、というわけなんですが、力勝負や冥界選挙などを経ながら、その戦いはなんとダンス対決へと持ち込まれるのです!ぐはああこれだからインド映画ってばもう!!死の神ヤマは妖艶な3人の天女を召喚しこの踊りが全ての者を魅了しますが、ラージャも負けずに抜群の踊りを披露します。ラージャ役のNTR.Jrさん、ちょっと太めながら物凄いキレのいい踊りを見せてくれますね。そしてラージャさんには「お爺ちゃん」と呼ばれる大迫力な助っ人ダンサーが登場しますが、これはひょっとしてNTR.Jrさんのお爺ちゃんでテルグ映画を代表するというあの大物俳優の方でしょうか!?
その後は現世に戻ったラージャがマヒーを悪者たちから救うまでの展開が描かれますが、ここでも死の神が人間に姿を変えて現われラージャを邪魔します。これがまた色っぽいオネーチャンの格好をしていて、もともとがヒゲ面のムサイ神様なもんですから、そのギャップに大いに笑わせてくれます。そしてクライマックスでは再び命の危機に瀕したラージャが八面六臂の凄まじい戦いを見せ、大いに盛り上がってゆくんです!こんな具合にひたすら濃いいセットとシチュエーションの中、ひたすら濃いい人たち(&神様)が大暴れしちゃうという『Yamadonga』、とっても濃くて頭クラクラするぐらいお腹一杯なれる超B級SFXアクション・ロマンス映画でありました!ちなみに主演のNTR.Jrさん、8月9日公開の『バードシャー テルグの皇帝』でも主役張ってます!こちらも楽しみですね!