今度も俺はバリバリのクソジジイだぜ!〜映画『人生の特等席』

■人生の特等席 (監督:ロバート・ローレンツ 2012年アメリカ映画)


アメリカ映画だから当然の事なんだろうけど、観ていて終始「あーアメリカだあ」と思えてしまった映画ですね。
頑固オヤジの主人公とその娘の跳ねっ返り振り。ダイナーにパブ、バーベキュー、どこにでもありそうなドライブイン、片田舎の瑞々しい森林風景、その風景を横切る燃費の悪そうなデカい自家用車。野球と、「野球と人生」というテーマと、その野球場の青い芝と、空の青さと、そこで対戦するケツにどっしり肉のついた野球選手たち。それら全てを覆う伸び伸びとした空気感。
そしてあと、基本的にアメリカ白人が中心になって展開する、「家族」についての物語。今やだんだん見かけなくなってきた、オーソドックスなアメリカ映画でよく見知ったアメリカの情景。そういうアメリカが綺麗に描かれているんですよ。綺麗事に描かれてるという事じゃなくて、今現在実際にあるのかどうかはわからないけれども、アメリカ白人が理想とし作り上げてきたアメリカの情景と風景が、とても綺麗に描かれてるなあ、と思えてしまったんですね。
グラン・トリノ』たった一本観ただけでオレの中では「世界で最も愛すべきクソジジイ俳優(&監督)」ということになっているクリント・イーストウッドですが、この最新主演作『人生の特等席』でもクソジジイ振りは健在で、ある意味『グラン・トリノ』の主人公だった孤独なクソジジイが、もうちょっと幸福な人生を歩めていたらこうだったかもしれない、みたいな、ある種のパラレルワールドを観ているような気にすらなりましたね。いやークソジジイ最高。そんなわけでクソジジイが堪能できればそれでよかったので、ジジイの娘のロマンス描写は物語を膨らます要素にはなっていますが特に必要に感じなかったかな。


人生の特等席 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]

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