コール オブ デューティ ブラックオプス


今世界で一番売れまくっているであろうFPSゲームコール オブ デューティ(CoD)』シリーズの新作、『コール オブ デューティ ブラックオプスCoD:BO)』である。なにしろこの『CoD:BO』、北米・イギリスでの初日セールスが560万本を超え、本や映画、CDなどあらゆるエンターティメント分野における売り上げ記録を更新したのらしい。『CoD』シリーズは近未来戦を描いた『コールオブデューティ:モダーン・ウォーフェア(CoDMW)』シリーズで大きな注目を浴び、その映画的な迫真の演出と冷徹かつ非情な物語展開、そして現代的な武器装備による激しい戦闘で話題を呼んだ。今回の『CoD:BO』では舞台を冷戦時代に遡らせ、歴史の裏側で展開されていた秘密作戦の全貌を描いてゆく。

なにしろオープニングから椅子に縛り付けられた男が体に電流を流され拷問を受けているシーンである。このゲームの主人公でもあるこの男は元CIA工作員であり、メイソンという名のその男はかつて冷戦時代、歴史には記されていないある極秘計画を巡るミッションに参加していたらしい。そして彼を拉致した何者かによる尋問と自白剤により、秘められた過去の記憶が明かされる形でゲームは語られてゆく。最初のミッションはキューバ危機の最中、メイソンとその仲間によるカストロ暗殺作戦の様子が描かれる。その後も舞台はロシア強制収容所、バイコヌール宇宙基地、アメリカ、ベトナム、香港、ラオスインドネシア、第2次世界大戦中のドイツ軍基地など、世界の様々な国を渡り歩き、秘密作戦の真相へと迫って行くのだ。特にベトナム・シーンでは映画『地獄の黙示録』や『ディア・ハンター』を明らかに意識したシーンが登場し、映画ファンならニヤリとさせられるだろう。

しかし実を言うとこのシリーズ、オレは1作目からちょくちょくやってはいるのだが、さすがに『CoDMW2』あたりで食傷気味なのである。なにしろこれでもかという物凄いシーンの連続なんだが、実のところどのエピソードも細切れで、用意されたシチュエーションにどっぷり浸かってやるというよりは、「これも凄いでしょ!?これも凄いでしょ!?」とハイライトシーンを急かされながら見ている感じなのだ。そしてこの慌しさがどうにも落ち着かなくて嫌なのだ。演出も実に映画的で派手なのだけれども、言ってみればその派手な演出の合間にゲームやっているという感じか。なんだか日本の某超有名ムービー垂れ流しRPGをやっているような、ゴージャスな空虚感が伴うのだよな。

オレのようなFPS好きというのは、まさにその世界に飛び込んでいるかのように、周りの世界全てを肌で感じながらゲーム世界に浸っていたくてFPSをやっているのだけれども、この『CoD:BO』は、世界をモニター越しに鑑賞させられてるっていうような感じなんだよなあ。ある意味、例の超有名RPGが、映画的な演出を意識した美麗なムービーにこだわってゲームらしさからどんどんかけ離れて行ったように、この『CoD:BO』も、スペクタクルな演出ばかりを追い求めたばかりに、FPSゲーム本来の旨みを、どんどん希薄にしてしまっているような気がするんだよなあ。とりあえずシングル・プレイしかやらない人間なので、そこだけの評価ということで。

ちなみに今回のゲームソフトはXbox360でやったのだが、国内盤はスクエニローカライズで、例によってゴア表現に規制を入れてヌルイ表現になってしまっているらしく、そんなもんやる気がしなかったから当然のごとく北米・アジア版を購入してプレイした。だいたいスクエニの『CoD:BO』日本版公式サイトって動画の主題歌がいきなり安室奈美恵だぜ?なんだかなあ。


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