ミラが駆ける!ジョボが跳ねる!ビッチが飛ぶ!〜映画『バイオハザードIV アフターライフ』

バイオハザードIV アフターライフ (監督:ポール・W・S・アンダーソン 2010年イギリス・ドイツ・アメリカ映画)

■それはスッカスカでグダグダでしょーもなかった!?

1作目『バイオハザード』はスッカスカの映画だった…2作目『バイオハザードII アポカリプス』はグダグダの映画だった…3作目『バイオハザードIII』はしょーもない映画だった…そして今、全世界のバイオハザード・ファン注目のシリーズ最新作が公開される!その名は『バイオハザードIV アフターライフ』!しかもスリーディーだよおっかさん!そしてこの『バイオハザードIV アフターライフ』、これまでの3作を遥かに超えるスッカスカでグダグダでしょーもない映画だったのであったッ!?しかーし!敢えて言わせてもらおう!「結構面白かったぜ!」と!

いやーオレ、このシリーズの『III』が特に好きでねー、あまりの馬鹿馬鹿しさに呆れるのを通り越して感動すら覚えてしまったぐらいで、なんとその年の年間ベスト10の1位にしてしまったぐらい好きなんですよ!もうこうなっちゃうとある種の"モンド映画"と言ってもいいぐらいの下らなさなんですわ!映画全編から「突っ込んで欲しい!突っ込んで欲しい!」という声が悩ましく呟かれまくり、もうオレはいてもたってもいられなくなってしまいには映画館の席で華麗なバク転決めちゃったぐらいなんですわ!そんなだからこの『IV』、いやがおうにも期待が高まりまくりですよ!しかも今度はスリーディーっすよ!?スッカスカでグダグダでしょーもない映画が、さらに飛び出しちゃうってんだから、もう想像を絶する凄さですよきっと!というわけで矢も盾もたまらず高い金払ってIMAX3D版を観に行ってしまいましたよ!

■期待に違わぬグダグダ感!

そしたらもう映画冒頭から飛ばしまくりですよ!渋谷交差点からお話は始まるんですが、なんとその渋谷交差点の地下にワルモンである巨大企業アンブレラの地下基地が広がっていたんですよ!おいおいこんな巨大設備をあんだけの繁華街の地下にいったいいつ作ったんだよ!?そもそも地下鉄走ってるだろあの辺り!?だいたいここの従業員のみなさんはどうやって通勤してるんだよ!?やっぱJR山手線か!?東急東横線か!?満員電車に揺られるアンブレラ工作員なのか!?仕事帰りはセンター街で一杯引っ掛けてんのか!?で、「ウェスカーってウザクね?」とか愚痴ってんのか!?給料日はしぶや百軒店の風俗でムフフなのか!?そして「オレのT-ウィルスを放出しちゃるぜ!」とか息巻いてるのか!?意外とホラー映画ファンが多くてシアターN渋谷のレイトショーに足げく通ってたりするのか!?ゾンビ映画観に行ったら隣がアンブレラの社員だったとかってシャレキツイよな!?

そしてその《渋谷交差点地下巨大基地》に主人公であるミラ・ジョボビッチさんがクローンの仲間を引き連れて襲撃に参ります!!しかし大量のミラ・ジョボビッチが両手にガン構えてきゃあきゃあ言いながら敵兵をバリバリ撃ち殺している様子は絵的にとてもシュールです!年寄りのオレは『マカロニほうれん荘』のキンドーさんをなんだか思い出しちゃったじゃないかコノヤロー!その後ミラさんは仲間を探してアラスカに飛び一人発見して今度はロサンゼルスに戻ります。なんでロスなのかはよくわかりません。そしてゾンビの群れに囲まれた建物に生存者がいることを発見し飛行機で建物の屋上に強行着陸します!しかしあの屋上あんまり広くなかったけどよく着陸できたな!

そもそも脱出経路もなさそうな場所に二人乗りで定員いっぱいになってる飛行機で乗り付けて何やるつもりだったんでしょうか。そこまで命賭けて救うメリットがあの建物にあるってなんで判断したんでしょうか。いやそんなもの無いんです!とりあえず危険に飛び込むのがミラさんのお仕事なんです!建物の中には「こいつらブチ殺され要員」と書いた矢印付きのフリップが頭の上にひらひらしてるような人々がいて、案の定一人一人機械的にゾンビにくびり殺されてくれます。それはもう流れ作業みたいな「はいっ次、はいっ次」てな殺され方です。緊迫感もなにもあったもんじゃありません。その後も色々ありますが全部書いているとキリがないからこの辺にしときます。それにしても地中掘り進んでやってくるゾンビってなんなんだよ。なんでもありかよ!

■ゲーム映画というジャンル

とまあここまであげつらっておいてなんなんですが、退屈はしないんですよ。見せ場だけはきちんと作られていて、そこはメッチャ派手に盛り上がるんです。そこがよく出来てるのであとは許しとくわ!とオレなんかは思うわけなんですよ。おまけにスリーディーでIMAXだったしね!しかしその見せ場と見せ場を繋ぐストーリーは全く説得力がないし必然性もないし当然のことながら整合感もありません。そして『バイオハザード』全シリーズに共通するんですが主要となるシーンとシーンの距離感が全く無いんですね。だから映画観ていると「え?もうここに着いちゃったの?」とポカンとしてしまうんです。

これって、実は物語を映画の文脈ではなくゲームの文脈で語っているからじゃないのか、と思うんですよ。主要シーンというのはゲームで言うところの「ステージ」であって、ゲームはこのステージとステージを繋いで流れていきますが、ステージ間の関係性や移動はあんまり重要じゃなかったりするんです。アクション・ゲームでは、物語性よりもそのステージでどれだけアクションのプレイを堪能できるかが鍵であり、この『バイオハザード』でも、それを忠実に守っているんです。だからアクション・ゲームをクリアしたときに、「面白いお話だったなあ!」と感じるよりも「ド派手なシーンの連続だったなあ!」ということが記憶に残るように、この映画では、物語性よりも荒唐無稽なアクション性に特化することを目指したんだと思うんです。ですからお話は薄っぺらで、アクションだけが派手に仕上がった映画になっているんですね。そういった意味で、物語を求めて観に行くとサイコーにツマラないんですが、無闇矢鱈に派手な映像を楽しめればもうそれでオデは満足ズラ!と思って観ると楽しめる、実にゲーム映画らしい映画なんですね、この『バイオハザード』シリーズは。