横山やすしvs西川きよし[モーレツ漫才ワークス]

お笑い番組というのをいつから意識して観ていたのかは覚えていませんが、日曜の夜にやっていた「花王名人劇場」でのお笑い特集は特に楽しみにして観ていました。そのなかでも横山やすし・西川きよしの漫才は本当に面白くて、ゲラゲラ笑いながらまさに名人の域だなあ、と思っていました。お正月なんかでも元旦からお笑い番組が多く放送されていたけれど、まず「やすきよ」が出ている番組にチャンネルを合わせていたような気がします。まあ実のところ、他の漫才師を知ってるかと言うとそういうこともないのですが、「やすきよ」の漫才は安心して観られる部分が多かったんでしょうね。
この『横山やすしvs西川きよし[モーレツ漫才ワークス]』は「横山やすしvs西川きよし」のタイトルでリリースされているDVDシリーズの1本なんですが、なにしろ2枚組319分に渡って「やすきよ」の漫才24本が楽しめるという「やすきよ」の集大成的なDVDです。実際は全編漫才のみの収録という訳ではなく、合間に当時の関係者の「やすきよ」を語る証言が挟まり、最初は「漫才だけでいいのになあ」と思いつつ観ていましたが、次第にこの証言もまた、「やすきよ」の魅力を伝える1部となって、興味深く観られるようになりました。
それにしても、今こうして観てみても「やすきよ」漫才の凄まじさ、そのテンションの高さには驚かされるものがあります。数十年前にこのスピードで漫才やっていたのか!?と思っちゃうぐらいテンポが早いんですよ。時事ネタや本人ネタはあるにせよ、今でも全然面白い。そしてもう一つ驚いたのは、この二人が「暴れん坊キャラ」のやすしに対して「おっとりキャラ」のきよしが絡む、という形で漫才をやっていたものだとばかり思っていたのに、実際は「調子のいいおっちゃん」のやすしに「いつもキレ気味」のきよしが暴力的に突っ込んで行く、というのがこの二人の漫才の形だった、ということですね。きよしの暴力性を受け止めるだけの器を、同じく暴力性を秘めたやすしが兼ね備えていた、ということなんでしょう。だからこそあれだけ鬼気迫る漫才を繰り広げていたのだと思います。いやほんまスゴイでえ。