- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/09/25
- メディア: 単行本
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もともとFX業者から素人がFXに挑戦する体験漫画を描いて欲しいと持ちかけられた企画だったのだが、サイパラは「他人の金でバクチは出来ない」と自腹で取引をすることを決意、しかし最終的な結果が一千万円オケラの丸坊主だった!という漫画史上類を見ない恐るべきドキュメンタリーに仕上がっている。そして凄いのは「楽しく遊ばせてもらいました」というサイパラの太っ腹だろう。勿論大損ぶっこいてハラワタ煮えくり返っていることは確かだろうが「バクチとはこういうもの」という割り切りもサイパラは徹底しているのだ。
そしてその大損ぶっこいてゆく自らを描く絵が、ひたすら黒い激情にまみれていて凄まじい!サイパラ漫画でこれほど真っ黒で汚い絵は他に無いんじゃないだろうかというぐらいどす黒く狂乱しているのだ。そしてサイパラが狂乱すればするほど、気の毒ではあるんだが漫画も狂ったように面白くなってゆく。ここまで漫画に体張らなくともとは思うけれども、いや、張ったからこそのこの面白さであり、いざとなると体を張るのがサイパラ漫画の醍醐味なのだ。やぱりこの人は凄い。
それにしても「地球は中国人の持ち分とユダヤ人の持ち分とで二つに分かれるけどこの賭場はどっち?」と聞くサイパラの、本質を見抜き見極め純化してゆく感覚は流石だな。サイパラという人はずっとこの"本質"ってモノに拘っている人で、だから時にはあからさまなまでに下品になるし、魂とろけそうなぐらい感傷的にもなる。自分の感情というものに素直だし疑わない。そんなところが人気なんだろな。