巨人の神話/スルタンの象と少女 ロワイヤル・ド・リュクス

■巨人の神話 ロワイヤル・ド・リュクス

横浜開港イベント《Y150》で披露された巨大ロボット蜘蛛を製作したフランスのアート・カンパニー、ラ・マシンと、ラ・マシンとともに活動するパフォーマンス集団ロワイヤル・ド・リュクスによる"巨大人形劇"の様子を収めたドキュメンタリー・ドラマである。
1993年、フランス北西部に位置する港湾都市ル・アーブル。この町にある日突然、巨人が降り立ち、町を闊歩するのだ。町の人々はまるで自らが「ガリバー旅行記」の小人になってしまったかのように巨人を見上げる…。
この『巨人の神話』はそれから10年余りをかけてル・アーブルに、そしてアフリカの小さな町に出現した巨人とその子供、そして2頭のロボット・キリンが人々を熱狂させ感動させる様を追って行く叙事詩である。

■スルタンの象と少女 ロワイヤル・ド・リュクス

2006年のある朝。ル・アーブルの町に巨大な砲弾の形をしたロケットが降り立つ。その中から出てきたのは巨大な少女だった。そして町を練り歩く少女を出迎えたのは、邸宅を背中に背負った小山のような巨大象とそこに住むスルタンの一行だった。そこで少女と巨大象は一大パレードを繰り広げる…。この『スルタンの象と少女』はラ・マシンロワイヤル・ド・リュクスが再び放つ幻想絵巻である。あとこれはマジなんだが巨大少女のシャワーシーンや放尿シーンもあるよ!さすがラテン系はやること違うな!

ラ・マシン製作の巨大ロボットもロワイヤル・ド・リュクスのパフォーマンスも実に素晴らしかったが、それは鍵括弧つきの「アート」の名の下に持ち上げ鑑賞するものではなく、市民参加のお祭り、大道芸の一つである、といった敷居の低さと見世物としての馴染みやすさもそこにあるのだと思う。
それとこの2枚のDVDを観て感じたのは、こういったパフォーマンスに対する市民の受け皿の広さと、安全対策や交通規制、運営資金などパフォーマンスの裏側に存在するであろう困難な問題に取り組みこれを実現させた行政のアートへの理解の高さだろう。このような巨大機械を町の真ん中で動かすのだから危険もあるだろうし手間も金も時間も掛かる。そういったリスクを踏まえながらもそれをやり遂げる事に臆することの無い市民性というか国民性がこのパフォーマンスの背後にはあるような気がした。

2枚組DVDも発売されている。

■DVD「巨人の神話/スルタンの象と少女」ロワイヤル・ド・リュクスPV

■ラ・マシン

ラ・マシンLa Machine)は、機械を作って他の劇団などに提供したり、機械を作ると同時に動かすパフォーマンスをするフランスのカンパニー。ナント市に拠点を置く。
ラ・マシンは、フランソワ・ドゥラロジエール(Francois Delaroziere、1963-)が、1999年に、劇団ロワイヤル・ド・リュクスや他のカンパニーで、ショーのマシンを作っていた技術者や彫刻家、建築家、クリエーターと共に立ち上げたカンパニーである。それ以来、2006年までは、ロワイヤル・ド・リュクスのほとんどのプロジェクトに参加し、同時に他の組織やフェスティバルとの仕事も行っていた。
設立時は主にロワイヤル・ド・リュクスのための巨大人形を創作していたが、2008年の'Les Mecaniques Savantes (La Princess)' からは、独自で人形を動かすパフォーマンスを行なっている。
Wikipedia「ラ・マシン」

ロワイヤル・ド・リュクス

ロワイヤル・ド・リュクス(Royal de Luxe、1979年-)は、ジャン=リュック・クールクー(Jean-Luc Courcoult)が南仏・エクサンプロヴァンスに設立したパフォーマンス集団(大道芸劇団)。創立以来、フランス国内はもちろん、世界各地(フランス、ベルギー、イギリス、アイスランド、チリ、オーストラリア等)で実施している。
マネキンを使ったショー等も行っているが、主には、ひとつのストーリーに沿って、動物や巨人などの巨大な人形が、まるで生きているかのように町中を練り歩くショーをしている。ストーリーは事前に公表されず、ひとつのストーリーを数日間にわたってする。2007年まで巨大な人形を製作していたのは、フランソワ・ドゥラロジエール(ラ・マシン芸術監督)ほか。
Wikipedia「ロワイヤル・ド・リュクス」