駒ケ岳に登ってきた (その3)

■山を降りてそののち

時間は午前9時、《千畳敷カール》もあらかた見尽くして山を降りることに。この下りのロープウェイは時間が早い為にまだガラガラで、ここでも待ち時間無し。そして降りながら紅葉した周囲の山々、時々見える滝などをゆっくり鑑賞。

ロープウェイ始発の《しらび平駅》に着くと駅は既にロープウェイ待ちの人でごった返していた。待ち時間の書かれたホワイトボードを見るとこの段階でもう3時間待ち…。早く来てよかったねえ、とつくづく相方さんと頷きあう。

時間がまだ早いので《しらび平駅》から徒歩15分にあるという《日暮の滝》を見に行く。


そのあとしらび平広場をぐるりと回り10時頃バスに乗って駒ヶ根へ帰還。よく晴れた空の下の《駒ヶ池》の美しさはまた格別だった(TOP写真)。

そして相方さんと二人「腹ふぇっとぅあぁー!」とわめきながら駒ヶ根名物という噂の《ソースカツ丼》を食べに《明治亭》へ。それにしても《ソースカツ丼》、その名の通り丼メシの上に刻みキャベツとソースをからめたトンカツが乗っている、というそのまんまといえばそのまんまの食べ物で、別にわざわざ名物なんて呼ぶものなのか?と思い、旅行計画中はノーチェックだったのだが、ここまできたら取り合えず駒ヶ根を全部体験しちゃる!ということで急遽お昼のメニューに決定したのである。さて注文して出来てきた《ソースカツ丼》、まさにそのまんまの味で意外性は全く無かったものの、キャベツの新鮮さとトンカツの美味しさで悪くないメニューであった。見た目のボリュームが相当あるのだが、実はトンカツの下のキャベツが思ったより量がありその分メシの量が少なめで、いってみれば普通のトンカツ定食を食べるぐらいの満腹感といえばいいかもしれない。だったらトンカツ定食でいいじゃん、などと決して言わないように!

さて思いのほかロープウェイが早く済んでしまったので帰りのバスまで時間が余ってしまう。そういえば美術館があったな、ということでテクテク歩く。途中大沼湖なる湖も発見、またもや湖の美しさに周囲をちょこっと回ってみる。

駒ヶ根高原美術館

《駒ヶ根高原美術館》到着。地方の美術館ってどんななんだろう?と思って入ってみたが、草間彌生池田満寿夫藤原新也の作品が個別室で展示されていて、それぞれがかなりの見応えがあった。まあ藤原新也は例によって説教臭く尊大なキャプションでたいしたことのない写真を大げさに見せてるし池田満寿夫はスケベが好きで好きでたまらないって風情だったが、それはそれ、美術館の展示空間で見ると面白かったな。なにより草間彌生の全身毒草生えまくりみたいなビロビロ振りが楽しかった!やっぱりゲージュツ家っていうのはどうしてもドロドロと沁み出してしまうような過剰さがゲージュツ家たらしめているのかしらん、とちと思った。
駒ヶ根高原美術館外観 / 藤原新也メメント・モリ

池田満寿夫「ロマンチックな風景」 / 草間彌生「Pumpkin C.P.Z」

ただこの辺で早起きと山登りの疲れがどっと出て、相方さんと二人美術館のソファに座ってウツラウツラ…。美術館であんだけ寝た人間もオレ等ぐらいかもしれない!

■そしてお帰り

「そういえば信州そば食べてなかったねえ、でもちょっと前にソースカツ丼食べたけどどうしよ?」と相方さんに相談すると「まあ旅は食ってなんぼでしょ!」という心強い返事。そして美術館のそばにあった"元祖光前寺そば"のお店に入ってそばを食す。長野らしく"葉わさび"が入っていたのは面白かったが、しかしいくら特産品とはいえ"りんごの天麩羅"も入っているのはなんだか納得できなかったぞ!そばのほうは実に歯応えがあったが、実の所オレってそばの奥ゆかしい味がいまだによく分からない…根がジャンクフード体質だからか…。

そばを食べた後は各々お土産を買って帰りのバスに乗るためバス停へ。さらば駒ケ岳。前日来た時の道を通ると昨日見た稲穂がすっかり刈り入れされていた。そして5時出発のバスに乗り2日間の旅は終りを迎えたのであった…のだが、渋滞に引っ掛かり新宿まで3時間半の予定が2時間遅れて5時間半バスに乗ることに…終点新宿で降りた我々は電車を逃すまじと夜の街をドタバタ走り回るのであった…。
(おわり)