『ザ・クリーナー』は特殊清掃のお話だった!?

■ザ・クリーナー 消された殺人 (監督:レニー・ハーリン 2007年アメリカ映画)


事故や犯罪で部屋に残った血のりやらゲロゲロなものやらを清掃処理する仕事の男が主人公なんですけどね。死体処置の話はよくありますが死体搬送後処理の仕事というものに目をつけたのが面白いですね。それにしても実際、殺人事件とか自殺の現場とかを掃除する専門の業者なんてあるんだろうか、と思って調べたら日本でも「特殊清掃」と呼ばれる業種があるようなんですね。検索すれば「特殊清掃110番」なんて会社が出てくるし、特殊清掃に携わる人の体験を綴った「特殊清掃「戦う男たち」」なんていうブログがあったりするんですね。特にブログに書かれたあまりにリアルな特殊清掃の様子は鬼気迫るものがありますよ。グロ耐性がある方だったら一読の価値アリです。
でまあ、映画のほうなんですが、冒頭から殺人現場の特殊清掃の様子が淡々と語られてなかなか面白いんですよ。主人公のサミュエル・L・ジャクソンの語り口調や神経質そうに何度も手を洗ったり部屋のドアに何重もロック掛ける日常生活の描き方もいいんですね。でもこの描写が後の物語に反映されないのが難なんですけどね。物語は特殊清掃を頼まれた主人公が実は殺人現場の現場証拠隠滅の道具に使われたらしい、と気付く所からミステリーが始まるんですが、そもそも事件もみ消しの為に無関係な第3者を殺人現場に派遣しちゃう、という部分で有り得ない話なんですよね。無用な目撃者が増えるだけだし、そういった場合はその第3者を次に殺すべきじゃないですか。かといって物語では主人公は命を狙われるわけでもなく逆に事件を探り始めたりするんですよねー。人間模様の描き方は好きだったんですが、そんな意味ではサスペンスとしてはちょっとイマイチだったかな。