ドラゴンはいっぱいだった!?

■阿呆遊戯 ブルース・リーを探せ! (監督:ジャスティン・リン 2007年アメリカ映画)


死亡遊戯』といえばブルース・リーの死により撮影半ばのまま未完に終わった作品であり、その後シーンの足りない部分をそれっぽい代役を立てて無理やり完成させたというインチキ臭い映画でもある。奇しくもブルース・リーの息子ブランドン・リーも映画『クロウ 飛翔伝説』の撮影半ばで謎の死を遂げ、未撮影シーンをCGなどで補って完成させたのだが、『死亡遊戯』もこれが現在であればCGを駆使してもうちょっとまともな映画として仕上がっていたかもしれない。
死亡遊戯』は他にも香港映画お得意のバッタもん『新死亡遊戯 七人のカンフー』とか『ブルース・リー 死亡の塔』、『死亡遊戯』で未使用・未公開だったシーンを追加した『ブルース・リー・イン G.O.D 死亡的遊戯』なんてものもあるらしく、いかにこの『死亡遊戯』という作品がファンに強い興味と想像力を掻き立たせるものであるか分かるだろう。勿論タランティーノの『キル・ビル』の黄色ジャージが『死亡遊戯』のオマージュだっていうのも皆さんご存知の通り。
さてこの『阿呆遊戯 ブルース・リーを探せ!』、『死亡遊戯』でブルース・リーの代役を務める配役のオーディション模様を撮影したフィルムが発見された!?といった内容のフェイク・ドキュメント。我こそはブルース・リーだ!とばかりにいろんな連中が登場するんだが、どれも勘違い君ばかりでオーディションは混迷の度合いを深めていく…といったお話。
(↓バッタもん俳優"ブリーズ・ルー")

その勘違い君として登場するのは無意味に自信満々なカンフー映画俳優のブリーズ・ルー、その彼のスタントを一手に引き受けていたインド人、「俺には中国人の血が流れている!」と主張するマッチョ白人、そして大役を得ようとやってきた脇役専門俳優、他にもおかまベトナム人やらなにやら、傍から見たってブルース・リーに似ても似つかない連中ばかり。映画の冒頭の辺りはこいつらが出演していたというトホホ映画の抜粋シーンや勘違いインタビューが流されてなんだか期待させるのね。
(↓冒頭はこんなオッサンも出てきて期待を抱かせるんですが…)

ただ中盤を過ぎると物語はハリウッド映画産業の中での有色人種無名俳優の悲哀をクローズアップしたものに変わって行って、冒頭で期待させたアホアホなドタバタはなりをひそめちゃうんだよな。それはそれでインディペンデント映画らしい味わいがあっていいのだけれども、前半と後半のノリの違いは製作側の思い切りの悪さが露呈した結果かもしれないよなあ。だいたい登場人物達はおバカというほどおバカではないし、滑稽ではあるけど笑えるほどでもないのよ。その辺の人物造型の練り方もちょっと足んなかったんじゃないかな。

■阿呆遊戯 ブルース・リーを探せ! 予告編

アホの坂田師匠がしっかり宣伝しています。本編より面白いかも…。
http://jp.youtube.com/watch?v=yr5vB9x12gg:MOVIE

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