■荒野のドラゴン (監督:マリオ・カイアーノ 1973年イタリア映画)
- 出版社/メーカー: エスピーオー
- 発売日: 2002/06/07
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さてこの『荒野のドラゴン』、マカロニ・ウェスタンだけに勿論イタリア製、全員イタリア語を喋っている。主人公チェン・リーは中国人の設定だが演じるのは日本人俳優・早川明心、彼がイタリア語でカンフーファイターを演じる様はもはやチャンポンの極み、こんなインチキ臭さが逆に今観ると楽しい。物語はこのカンフーファイターが何故かカウボーイになりたくて開拓時代のアメリカにやってくるが「このチンクめ!」と見下す白人どもを蹴散らしちゃったからさあ大変、顔を潰された慇懃な牧場主やら町を仕切るボスやらが殺し屋まで雇って彼を叩き潰そうと躍起になるのだ。
さて問題は最凶の殺し屋として映画のクライマックスに登場する男・ミクリヤである。まあなにしろこの風貌を見ていただきたい。
もう真っ赤な忍び装束と訳の分からないちょんまげ、そしてドジョウひげの組み合わせが破壊力抜群である。こいつこの格好で西部の町々を渡ってきたのか?殺し屋じゃなくてホントは小劇場とかお笑いの人なんじゃないのか?こいつを雇った町のボスはこの格好を見て心配にならなかったのか?などとあらぬ妄想がモクモクと湧いてくる怪しさである。ラストはこいつと主人公が血で血を洗う死闘を繰り広げて盛り上がるのだが、カンフーファイトだけかと思ったら手裏剣だの刀だのなんでもアリで、サービス精神満載なのは少なくとも伝わってくる。
しかし日本人俳優・早川明心はイタリアでカンフーの道場師範をやっている所をスカウトされたらしいが、映画全編を通してあんまりカンフーらしくない動きで、観ていて単なる殴り合いにしか見えないし、「これモロにトランポリンだよなあ」という無理な跳躍が多く、「カンフーで鍛えられた動き」を期待するとがっかりするかもしれない。あと、技を繰り出す時の"怪鳥音"が「えーーいッ!」なのが何故か悲しい。だが、カンフー&マカロニ・ウェスタンという一種キワモノっぽい設定は観ているとそれほど違和感が無い。両方の映画ジャンルの"なんでもアリ感"がそう思わせるのかもしれない。勿論殺し屋ミクリヤの存在を無視すれば、の話だがな!
■FIGHTING FISTS OF SHANGHAI JOE (1972) - Trailer
カンフー・マカロニ・ウェスタン『荒野のドラゴン』のドイツ語版トレーラー。もう訳がわかりません。