ハンディキャップ、カンフー、ロックンロール!?〜映画『残酷復讐拳』

■残酷復讐拳 (監督:チャン・チェ 1978年香港映画)


両腕の無い男、両足の無い男、めくら、唖、つんぼ、クルクルパー!これらハンディキャップを背負った男たちが因縁と怨念のカンフー対決を繰り広げる映画が存在した!?その名は『残酷復讐拳』!『片腕ドラゴン』、『片腕ドラゴン対空飛ぶギロチン』というボンクラ映画ファン必見のハンディキャップ・クンフー映画が存在するが、この『残酷復讐拳』はそれを上回る凄まじき体の御不自由な方々が登場し、そのハンディキャップを乗り越えさらに常人を上回るカンフー・ファイターとして戦いに臨むのだ!

町の大地主、トー・ティエンタオ家に暴漢が侵入、トーの妻は惨殺、息子チャンは両手切断という酸鼻極まりない事件が起こった!しかし辛うじて命を取り留めたトーの息子チャンは、両腕に鋼鉄の義手を取り付け、過酷な修練の末、義手を生かした殺人拳を会得する!しかもこの義手、拳が伸びたり、手裏剣を飛ばしたり出来るちょっと便利なおしゃれアイテム!マジンガーみたいでカッコいいね!この鋼鉄の義手を使い、武術家でもある父と共に町の平和の為に尽くす正義の男チャン!…じゃなくって、なんとこいつら、その技を悪用し卑劣な暴虐三昧、恐怖と暴力で町を支配していたのだ!

そんなティエンタオ親子に逆らいその逆鱗に触れ、喉と耳を潰され唖で聾になった鍛冶屋のウェイ!目を潰され盲になった商人のチェン・シュン!両足を切断されたフー・アクイ!さらには熾烈な拷問の果てにアッパラパーのパーになってしまった旅の武芸者ワン・イー!体と頭のご不自由な方になってしまった4人はティエンタオ親子への復讐に燃え、血の滲むような修行を重ね遂には常人さえも上回る不屈のカンフー・ファイターとして生まれ変わった!盲のチェンは聴力を生かし、聾唖のウェイはそのチェンをサポート、両足を失ったフーは鋼鉄の義足をはめ、クルクルパーのワンはクルクルパーを生かしたクルクルパー拳を会得した!さあ、復讐の時は来た!力を合わせティエンタオ親子を地獄に落とすのだ!

というわけで『残酷復讐拳』、もう設定だけで面白さは保証されたようなもの、このあらすじを読んで興味が湧いた方にはきっと満足していただける内容になっているだろう。オレはカンフー映画には暗いので、この映画がカンフー映画史のどのあたりに位置するものなのかを語ることはできないけれども、「聞いたこともない映画なのに観てみるとこんなに面白いとは!」」という軽いショックを受けたのは確かである。一見キワモノのようなストーリーと思われるかも知れないが、"復讐"という最も人の情念を刺激する内容、そして過酷なハンディキャップを背負いながらもそれを克服し、なおかつ超人的な技を会得する者たちへの共感と驚嘆、そして勿論カンフー技の美しさと興奮を呼ぶ対決、まさにエンターテイメントの真髄といっていいカンフー映画であった。あ、このエントリのタイトルは勿論かの有名サイトさんのもじりですが、映画はロックンロールとはあんまり関係ありません。

■『残酷復讐拳』 予告編


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