青春うるはし!うるし部 / 堀 道広

青春うるはし!うるし部 (URUSHI COMICS)

青春うるはし!うるし部 (URUSHI COMICS)

グア。なんだこの汚い絵は。まるで足で描いた様なあまりに惨い表紙の絵に心神喪失状態になり、気が付くと買ってしまっていたのがこのマンガである。内容も作者も全く知らないまま手にしてしまったのである。そして一抹どころか十抹ぐらいの不安を抱えながら読み始めると、あろうことかこれが結構面白いではないか。しかもこのマンガ、ただのマンガではない。日本の伝統工芸である”漆器”の世界を事細かに解説した”漆塗りマンガ”だったのである。あ!だからタイトルが「うるし部」なのか!?
作者堀道広は実際に漆塗り職人で、「輪島塗の修行、社寺建築の漆職人、御徒町の漆屋さんなど13年も漆関係の仕事をしていた(あとがき)」とあり、このマンガでは漆塗りの材料から製作工程、その歴史、そして世界の漆器の紹介など、一般人には馴染みの薄い漆器の世界を詳らかにした薀蓄マンガなのだ。しかーし!ただの薀蓄マンガではない。伝統工芸だの漆器だ言っているが、この絵を見ると分かるようにそのストーリーはお下劣低劣シモネタ満載、シュール&ナンセンスなお馬鹿マンガなのであった。つまりは”漆器ギャグ”という前人未到唯一無二のジャンルなのであるが、このような訳の分からないものを何の必然性も無く生み出す強引さそれ自体が、もう既にギャグなのであった。漆モビルスーツとかさ。しみじみと馬鹿である(絶賛)。