時差の無い世界一周

■ある日会社のA君の名前が「アゼルバイジャン」と聞こえないことも無いことに気が付いたのである。いや、本当の名前とダブっている部分は「ア」だけなのだが、「ア(んにゅんにゅんにゅ)」という感じでモゴモゴ言うとなんとなくそう聞こえるのである。…と思う。あと「オースチン」にも聞こえる。どちらかというとこっちのほうが似ている。取り合えず仕事中くぐもった声で「オースチン…」とA君を呼んでみる。…ヤタ!振り返った!続いて暫く経ってから「(もごもご)アゼルバイジャン…」と呼んでみる。…ううん。反応が無い。これでは詰まらないので忙しそうに仕事しているA君の隣まで行き、横顔を睨みながら「(もごもご)アゼルバイジャン…」と呼んでみる。するとA君、オレのほうを振り向くことも無く冷たい声で「全然僕の名前に聞こえませんよ。」とのたまった。いかん。バレテル。ってかオレこんな事ばかりしているが果たして会社でちゃんと仕事しているのであろうか。謎である。
■実はこのA君、会社では様々なニック・ネームが付けられている。ちょっと紹介すると、
麒麟端麗辛口のA…A君は酒は発泡酒麒麟端麗辛口しか飲まないという噂がある。”極上の発泡酒”ということらしいが、発泡酒発泡酒だと思うんだが。どうも発布酒で我慢して貯金をしているらしい。見上げた青年である。
・貯金通帳常時携帯のA…今はカードがあるのだから貯金通帳持ち歩かなくとも…と思うがさにあらず。どうもピン○ロに行くと女の子に通帳の金額を見せびらかすのが趣味だと言う噂がある。
・時差の無い世界一周をするA…風俗店の大好きなA。夜の歓楽街でフィリピン−ロシア−韓国−中国−中南米…と様々な国籍の女の子のいる店々を渡り歩くのでこの名前が付いたらしい。
・ピンクセロファンのA…女の子が部屋に来ると照明にピンクのセロファンを被せてムード作りをするらしい。つくづく用意周到な男である。
・ブナシメジのA…家でブナシメジの栽培をしているという噂がある。
・ラブ・ハンターのA…Aが女子を見るときは猛禽類が空から小鼠を狙うような、肉食獣が草食動物の群れに音も無く忍び寄る時のような、そんな目つきで見るのである。ラブ・ハンターAである。
このようにA君は様々な伝説を残しているが、全部デマだという噂もある。そしてその出所は全部オレらしい(オイ)。
■そんなA君であるがオレが暇な時に卍固めコブラツイストやキャメルクラッチの練習台になってくれるいいヤツである。(やってないって)持つべきものは出来た部下、である。