デトロイト・テクノ、フランソワ・K、そしてRONG MUSIC

■INTERSTELLAR FUGITIVES PT.2 / UNDERGROUND RESISTANCE

INTERSTELLAR FUGITIVES PT.2

INTERSTELLAR FUGITIVES PT.2

デトロイト・テクノの中心的アーティスト、アンダーグラウンドレジスタンスのアルバム。エッジの利いたマシン・ビートとロマンチックなメロディ。《星間逃亡者》と名付けられたこのアルバムは、デトロイト・テクノらしい機械と人間の織り成すコズミック・ソウルを聴かせてくれる。
ちなみに日本での録音ということだが、U.R.のメンバーが日本の電子楽器と出会った事でいかに優れた音楽を作り出すことが出来たか、というリスペクトの意がこの日本での録音に籠められているという。デトロイトの音楽と日本を繋ぐ輪。何か感慨深いものがある。



■ELECTRIC INSTITUTE / V.A.

The Electric Institute

The Electric Institute

フロア向けのテクノに対し、ベッドルーム・テクノという言葉がある。寝室に電子楽器を持ち込んで一人でこつこつ作られた音楽。非常に個人的でメディテーショナルな音楽として、内省的な音を聴かせてくれる。
オレもはなからフロア向けのテクノを聴いていたわけではなく、当初はカーク・ディジョージオカール・クレイグらが生み出したこれらベッドルーム・テクノをよく聴いていた。あの頃はNew Electronicaなんてシリーズもあったな。
このカーク・ディジョージオが新たに送り出した《ELECTRIC INSTITUTE》は、そんな時代のテクノの匂いをさせた、ある意味懐かしい作品集。優しく、静かで、そして知的なテクノ・ミュージックを聴かせるアルバム。



■Deep Space NYC, Vol. 1 Francois K

Deep Space NYC, Vol. 1

Deep Space NYC, Vol. 1

ハウス・ミュージック界の重鎮といえばこの人、フランソワ・ケヴォーキアン。彼がレジデントを務めるパーティ、”DEEP SPACE”をMixCDで再現したものがこれだが、ダブをコンセプトにダブ・ミュージックの重低音と幻惑的なエレクトロニカ・サウンドが融合した素晴らしいミックスを聴かせてくれる。ダブ+エレクトロニカで有名なRhythm&Soundの曲はもとより、U-ロイのディージェイスカタライツのルーツ・レゲエに挟まってジェフ・ミルズのロマンチックなミニマルテクノが鳴り響くそのセンスはまさに絶妙。オレ自身は最近エレクトロニカから遠ざかってきているが、こんなCD出されるとエレクトロニカにもまだ聴くべき音が残っているなあと思い知らされる。



■Natural Aspirations / THEO PARRISH

ナチュラル・アスピレイションズ

ナチュラル・アスピレイションズ

レゲエ/ダブミュージックをここの所ずっと聴いてきて、もう一度テクノに戻ってみると、セオ・パリッシュのようなディープでどことなく土臭いエレクトロニカのほうが聴きやすい事に気付く。ソウル、ファンク、ジャズの匂いを残しながら、その音はどろどろと黒くうねるグルーブを延々と流し続ける。エレクトロニカとは書いたが、多数のミュージシャンを起用して録音され、ヴォーカル曲も多い。もはやジャンル自体飛び越えているような音。それがするめを噛んでいるようにじわじわじっくりと味を深めていくのだ。



■THIS IS RONG MUSIC / V.A.

2003年のファーストリリース以来、DJ Harvey、IDJUT BOYSMOODMANなど国内外のDJによってプレイされ続け、‘00年代型・新しいハウスミュージックの潮流を象徴する存在となったニューヨーク/サンフランシスコのレーベルRONG MUSIC。
これまでアナログのみのリリースだった同レーベルのカタログが、 MIX CD+NON MIXという形で今回初CD化。全曲カブリ無し!
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1404824

アメリカのダンス・フロアでは現在ダブ・ディスコなるジャンルが流行っているのらしい。と言う訳で新し物好きのオレは早速聴いてみたのだが、このスカスカしたミディアムテンポのハウスは、なにかハウス黎明期のプリミティブな頃のハウスを思い出させるな。ミックスとノンミックスの2枚組だが、時折インディーズロックバンドの演奏みたいのまで入っている。ハウスなのかこれ?