VACATION

夏休みをとっていたオレの会社の後輩Mが出社してきたので話をする。
「どうよ。サンサンとした太陽の下でバケーションしまくってきたかよ。」
ところが反応が暗い。
「いえ…。ジトジトとした日陰の下で…バケーションと言うよりはお化けーション状態でした…。」
「…な、何かあったのかよ…。」
後輩Mは虚ろな目をしながらうつむき加減で亡霊のように呟いた。
「何か…と言うより何も無い…。休みは取ったけれどやることが何も無かったんです…。」
Mの只ならぬ様子に張り付いたような笑顔を作ってオレは言った。
「…でででもゆっくり出来たんだろ…。」
「ゆっくり…というか…朝起きて…ふと気付くと…夜になってました…。」
そして…見ると、夏本番になろうかと云う今日この頃なのに、Mの背後には氷点下のブリザードが吹きすさんでいたのであった。ひゅるりぃー…ひゅーるりぃららぁー…という風の音をさせながら…。