ヴィレッジ (監督 M・ナイト・シャラマン 2004年 アメリカ)

ヴィレッジ [DVD]

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シャマラン作品は何となく全部観ていて、実はそれほど嫌いではないにも関わらず、劇場では一度も観た事がない。オレのシャマラン作品のスタンスとはその程度である。賛否両論とかよく言われるが、結局小説で書くなら30ページほどのショートストーリー的な構成とオチの作品を、特に膨らませる事なく100分の映画に仕上げるからなんだろうなあ。でもその程度のストーリーを100分かけて見せることができるのはやはり手腕だし力量なんだろうな。逆に、描かれる人物がショートストーリー的な単なる物語を説明する為の構成物として扱われるから、誰にも感情移入しないし、感情移入出来る作りにもなっていないんだよね。すなわちシャマランの映画では、描かれている物語の構成そのものが重要なのであって、人間の内面とか複雑さとかはどうでもいいんだよ。このへんは、よくあるアクション映画とかとは共通するように見えて、なぜか似て非なるもんなんだよな。というのは、シャマラン作品の登場人物って、特に好きになったり気になったりしないもの。たとえどんなB級アクション映画でも、「こいつカッコイイ」とか「こいつムカつく」とか登場人物への感情移入はそれなりにあるもの。その辺、シャマラン映画って機械的な作りなんだよな。監督が、登場人物を誰も愛していないのよ。
ただ、やはり凡百の監督と違うのは、その映像がきちんと作られている、という事なんだね。嘗めるようなカメラワークや、濡れたような色彩感覚、魅力的に撮影された俳優たち。シャマラン作品って、ストーリーや結末がどうのこうの言われることしかないけれど、映像の説得力、見せ方は実によく出来ていると思う。むしろ、このよく出来た映像があるからこそ、シンプルというよりもともすれば単純でしかない物語を最後まで見せるんだろうね。これは、瑣末な情報や脇道を沢山挟み込む事によってリアリティを生み出そうという技法とはまた別なんだね。見えているもの、見せなければならない物をしっかり見せる。逆に余計な物を見せない。これは、シンプルな結末へともっていくためのシンプルな映画の構成なのかもしれない。
ああ、映画そのもののことは何も書いてないけど、まあ、いつも通りだよ。乗れる人は乗れるし、乗れない人は乗れない。でも作りはいつも通り丁寧だ。オレは好きだな。2回観る気はしないけど。