- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2004/03/22
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- 作者: 西原理恵子
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「毎日かあさん カニ母編・お入学編」はそれぞれ西原自身と2人の子供、そして離婚したがたまに会っているアル中の元旦那が主要人物。いわゆる子育て日記です。しかし凡百のそれと違う所はケレン味に逃げない事、結構壊れているのにそれを包み隠さずあからさまに描いちゃってる事、安易に家族賛歌にしないこと、でしょうか。でもやはり読後伝わってくるのは家族といる事の喜びだったりする。それと狭いコマいっぱいに書かれたネームの情報量がやはり段違いの西原ワールドしていると思う。
子供の一人、長男の男の子は突っ走るばかりの実に分かり易いバカ子供で、可愛いとか可愛くないとかではなく、原石の男って男の子ってこういうもんだったなあ、と思った。泥にまみれおしっこちびっちゃうほど遊ぶのが楽しいってなんなんだろう。このなりふり構わない(だって子供だもの)パワーってなんだったんだろう。かつて子供で男の子だったオレは、この男の子ほどにもバカで支離滅裂だったけれど、そこにはなにがしか子供なりの論理があり、ガキの世界の理由があったのだよ。あの世界は、どこにいってしまい、そしてまた、オレのどこに残っているんだろう。
もう一人の女の子は、ちいちゃなころから、嘘泣きしたり、自分にばかり注目を集めたいお姫様体質だったり、やっぱり、きちんとオンナだったりするんだよ、よく言われるけれど、男の子って子供の頃は子供だけれど女の子っていうのは小さな頃から大人なんだろうね。自分の立ち振舞いが回りにどういう風に影響するのか、ちゃんと把握してるんだよ。
ここに登場する子供達は五月蝿くて汚くて悪戯ばっかりして疲れさせる事もあるけど、お母さんはいつも眉間に皺寄せ不機嫌な顔をしていて、お父さんは酒乱で入院してたりしているけれど、それら全ては安易に家族でいるって幸福だ、という結論でくくれはしないけれど、そんなマイナスな要素なんて弾き飛ばすほど、家族の中で大人数でガチャガチャやってるのは生きてて安心感があるような気がするけどなあ。というか、こういう人間関係の中で揉まれるなり他人を観察するなりする事で人間的にタフになれると思うんだけどな。
結婚したなら子供は作ったほうがいいのに、と思う。肉体的な問題があるなら別だろうけど、経済的な問題だとか社会情勢がどうとか言ってるのを聞かされると、要するに結婚しながら家庭的なものに束縛もされたくないと思ってるだけのような気がする。共同生活しているだけのシングルみたいな気分でいたいんだろうか。なんか生活感が出るのが嫌だったりするのだろうか。だったら最初から結婚すんなよ、と。恋人気分も3ヶ月までだぜ、と。なんか、「(個人主義的な)自分の楽しみ」ばっかり言ってると、進歩ねえぜ、自己完結してるだけの人生だぜ、って思っちゃうんだよ。大きなお世話なんだろうけどね。
実際子供なんて「五月蝿い」「汚い」「臭い」だけなんだけどさ。可愛い事もあるが殆どは苛立たせられる事ばかりだとは思うよ。半分動物なんだから。でも子供と接していると自分がかつて子供であったことを思い出すんだよ。そしてまた、子供の視点に自分を置く事が出来るんだよ。大人であると言う事はこれからどうせ歳取って衰えて行くだけなんだから、そんな風に子供の視点になれるっていうのはとても新鮮な発見があると思うし、さらにもう一度自分を発見できるんじゃないだろうか。別に自分発見の為に子供作ろうって言ってる訳じゃないが、子供を育てるというのは困難だがそれに見合う幸福感があるもんなんじゃないかな。それは愛情のある暮らし、愛情を注ぐもののある暮らしってことじゃないかと思うけど。
スマン、破綻した家庭の生まれ(母子家庭)で、結婚もしてないし予定もないし、勿論子供も作った事もないオレが言うのはリアリティがないような気もするが。しかし子供のいる友人の家に行くとオレはいつもそういう事を考えちゃうんだけどな。