気分が滅入る事があると鏡を見る。…不細工な顔である。この顔で悩んでもしゃあねえなあ、と思えてくる。こうして、オレは再び明るく生きていくのである。
怒り心頭に達したときは鏡を見る。…不細工な顔である。この顔で怒り狂うのも見苦しいなあ、と思えてくる。こうして、オレは再び優しい男になるのである。
スケベ心が湧いたときはときは鏡を見る。…不細工な顔である。この顔でスケベだと単なる犯罪だろ、と思えてくる。こうして、オレは再び紳士になるのである。
愉快なときは鏡を見る。…不細工な顔である。この顔は笑う為にあるなあ、と思えてくる。こうして、オレはもっと楽しくなるのである。
エゴも自尊心もいらねえ。不細工面は心の平穏の為の鍵なのである。