TRPG原作の『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』はメチャクチャ楽しい映画だからファンタジー好きやゲーム好きはみんな観るといいんだ!

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り (監督:ジョナサン・ゴールドスタイン/ジョン・フランシス・デイリー 2023年アメリカ映画)

RPGの元祖的ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』映画化作品

……とまあ言いたいことはブログタイトルで全部言ってしまったような気もしますが、補足説明としてこの後例によってダラダラ書き殴ってみましょう。あ、「ファンタジー好きやゲーム好きは」って書いたけど、それ以外の人が観ても面白いよ!

さて映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り(以下『D&D HAT』)』、ファンタジー系のTRPGテーブルトークRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を原作にした映画なんですが、その前にTRPGとは何か?そして「ダンジョンズ&ドラゴンズ」とは何か?ということを弱冠付け加えると、

TRPG=ゲーム機などのコンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ“対話型”のロールプレイングゲームRPG)を指す言葉。(テーブルトークRPG - Wikipedia

ダンジョンズ&ドラゴンズ=1974年に制作・販売されたアメリカのファンタジーテーブルトークRPGである。世界で最初のロールプレイングゲームRPG)であり、他のRPGの原点ともなり、最も広くプレイされた作品である。(ダンジョンズ&ドラゴンズ - Wikipedia

となっておるわけです。オレ自身はTRPGはやった事がないけど、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は昔コンピューターゲーム化された時に触ったことがあったかな。いわば『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』の元型ともなったゲームのひとつなわけなんですよ。そんなゲームの映画化がこの『D&D HAT』なんですが、ハズブロの「海戦ゲーム」を映画化した『バトルシップ』みたいなもんだと思ってください!(違うのか!?)

前置きが相当長くなりましたが、ごく単純に言うならこの映画、『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなファンタジー映画だと思ってもらえればそれでOKだ!(じゃあ長い前置きの意味は)

ボスキャラを倒すため旅の仲間を募れ!

物語はなにしろ剣と魔法の中世風ファンタジー世界が舞台となっておるわけです。

【物語】さまざまな種族やモンスターが生息する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガンと相棒の戦士ホルガは、ある目的のために旅に出る。これまでにもさまざまな修羅場をくぐり抜けてきた彼らだったが、今回の冒険は一筋縄ではいきそうにない。そこで、魔法使いサイモンとドルイドのドリック、聖騎士のゼンクを仲間に加え、パーティを組む。ダンジョンに立ちはだかる困難や手ごわい敵の数々、そして高難度のクエストを乗り越えていくうちに、彼らは全世界を脅かす巨大な悪の陰謀に対峙することになる。

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り : 作品情報 - 映画.com

即ち主人公が「ある目的」の為に様々な「スキル」を持つ様々な「種族」の「旅の仲間」を募り、「パーティー」を組んで「アイテム」を入手したり「ダンジョン」を彷徨ったりあれこれの「ミッション」をクリアしたりしながら「最終ボス」を倒す!という、まさにRPGそのものの映画がこの『D&D HAT』となるわけですね。その「旅の仲間」を紹介しますとこんな具合です。

盗賊のエドガン(クリス・パイン)特技=戦略家。今作の主人公

戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)特技=斧と体技を使った戦闘

魔法使いサイモン(ジャスティス・スミス)特技=なにしろ魔法使い

ドルイドのドリック(ソフィア・リリス)特技=変身能力

聖騎士のゼンク(レゲ=ジャン・ペイジ)特技=剣技の達人

とにかく楽しいバトルファンジー映画!

こんな彼らが知力と体力、魔法の力と戦闘能力を駆使して最終ボスである「悪い魔法使い」を倒すのがこの物語なんですが、ただ一つ問題は、聖騎士のゼンクを除き全員が「落ちこぼれ」、あるいは「脛に傷持つ身」ということなんです!つまりはこのパーティー、相当のデコボコメンバーで構成されており、非力という訳ではないにせよ、なにかどこかでポカをやらかしドタバタを繰り広げてしまう(特に主人公のエドガンが一番メンドクサイ奴)、そこにコメディタッチの軽快な面白さを醸し出しているのがこの作品の最も優れた点なんですね。

ファンタジー系の映画ですととかく重厚長大になったり暗くシリアスになってしまいがちなんですが、この『D&D HAT』はその真逆となっており、134分の上映時間を非常にスピーディーにテンポよく、ドラマもアクションも眩いSFXも交えながら、本当にあっという間に駆け抜けてしまうんですよ。そこがこの作品の痛快さと楽しさに繋がっているんですね。とはいえ決して中身が薄いわけではなく、逆に「よくここまで詰め込んだな」と思わせる内容の濃さ、畳み掛ける様なドラマの多彩さを兼ね備えてもいるんです。

濃厚な世界観

そしてもう一つこの作品を支えているのはその「世界観の濃厚さ」です。「中世風ファンタジーな映画」は数々ありますが、意外と「中世風ファンタジーなお約束」だけで作られている作品も多く、観ていて結構「ああいつものアレね」と白けてしまう部分もあるんです。しかしこの作品では物語や映像面で「この物語ならではの独創的なファンタジー設定」が膨大にばら撒かれており、「え、今のなに?」「あ、これはこういうこと?」という新鮮な驚きや発見を見出すことができるんですよ。つまり設定が練り込まれていて凡百の「中世風ファンタジーな映画」と絶妙な差別化を図ることに成功しているんです。

配役も楽しくて、クリス・パインの腰の軽いユーモラスさは物語に決定的なトーンを与えていたし、ミシェル・ロドリゲスの狂戦士ともいえる戦いっぷりはしみじみと見惚れてしまうし、ジャスティス・スミスの情けない風情やソフィア・リリスのチャーミングさ、レゲ=ジャン・ペイジのお堅い聖戦士ぶりもとてもよかった。それとエドガンの娘役のクロエ・コールマンは映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』に出ていた子役ですが、彼女も実に存在感あったなあ。

そんなこんなの映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』、もう一度繰り返しますがメチャクチャ楽しい映画だから、ファンタジー好きやゲーム好き、そしてそれ以外の方も、みんな観るといいんだと思います!続編も作って欲しい!