ゴジラとコング、どっちが強い！？／映画『ゴジラvsコング』

ゴジラvsコング（監督：アダム・ウィンガード 2021年アメリカ映画）

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この宇宙には様々な【頂上対決】が存在する。例えば猪木対馬場。県警対組織暴力。マジンガーZ対デビルマン。平成ライダー対昭和ライダー。フレディ対ジェイソン。エイリアン対プレデター。バットマン対スーパーマン。貞子対伽椰子。それら伝説のカードとなる対決の、真打とも言える映画が登場だ。そのタイトルは『ゴジラvsコング』、東の怪獣王ゴジラと西の怪獣王キングコングが一騎打ちを果たす、史上最大・宇宙最大の対決の幕が、今切って落とされるのだ！（ヤンヤヤンヤ！）

モンスターの戦いで壊滅的な被害を受けた地球。人類は各地で再建を計り、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務にあたりながら、巨大怪獣のルーツの手がかりを掴もうとしていた。そんななか、ゴジラが深海の暗闇から再び姿を現し、世界を危機へ陥れる。人類は対抗措置として、コングを髑髏島（スカルアイランド）から連れ出す。人類の生き残りをかけた戦いは、やがてゴジラ対コングという未曽有の対決を引き起こす。

ゴジラvsコング : 作品情報 - 映画.com

はい、怪獣映画『ゴジラvsコング』でございます。日本の誇る特撮怪獣ゴジラとハリウッドの大猿怪獣キングコングが大決闘！というタイトル通りそのまんまの映画なんですな。ゴジラとコングの戦いは1962年に東宝映画『キングコング対ゴジラ』として映画化されていますが、その因縁の戦いの決着が2021年、『ゴジラvsコング』としてハリウッド映画化されたというわけです。そしてこの作品は『GODZILLA ゴジラ』『ゴジラキング・オブ・モンスターズ』『キングコング: 髑髏島の巨神』に続く【モンスターバース】作品の第4作目でもあるんですね。

とまあそんな「Wikipediaでしっかり調べましたあ！」といった情報はともかく、オレ自身はゴジラにもキングコングにも【モンスターバース】にも特に強烈な思い入れがあったりするわけではありません。年寄りなので大昔のゴジラシリーズは結構観ていたし、コングはジョン・ギラーミン版もピーター・ジャクソン版もやはり観ていますが、熱く語りたくなるほどのファンではないんですよ。【モンスターバース】作品にしても、『髑髏島の巨神』は面白く観たけど、他の2作は「頑張って作ったねえ」という程度の感慨だったりします。

そんななのでこの『ゴジラvsコング』も「お馬鹿な特撮映画らしいからとりあえず観とっか！」なんて感じで劇場に足を運んだんですが、予想通り相当お馬鹿な作品ではありましたが、2時間程度の上映時間でゴジラとコングの戦いをきっちり収め、結構な【びっくり展開】も持ち込んでくれたもんですから、これはお代の分しっかり楽しませてくれる良質な娯楽映画だってことでいいんじゃないでしょうか。

まあ確かに「地球空洞説」だの「半重力駆動装置」だの荒唐無稽過ぎる設定が登場して観ていて脳波が停止しそうになりますし、映画に登場する人間の主要人物らは書割り程度の役割と人格しか与えられておらず、マネキンでも置いてあったほうがまだましだったのではないかと思わされます。人間描写のしょうもなさと人物設定のあり得なさは『ゴジラキング・オブ・モンスターズ』も同様でしたが、この『ゴジラvsコング』ではさらに存在感すら希薄となっており、「人間を描くつもりは全くない」という製作者の強固な意志が伝わってきそうです。

しかしなにしろこの映画の主人公はゴジラとコングであり、キモとなるのは両者の対決です。すわスクリーンにゴジラとコングが寄りの映像で映し出され、両者が凶悪なメンチを切りながら「ぐおおおおおお！」「ごぎゃああああ！」と雄叫びを上げた瞬間にもう画面に釘付けです！コングのメガトンパンチに放射能火炎で応戦するゴジラ！尾を振り上げるゴジラに高々とジャンプするコング！両者の攻撃の応酬に周囲のビルは次々と崩れ去り人々は絶望に駆られて逃げ惑う！壊せ！壊せ！みんな壊れてしまえええええ！！

こんな具合に闘争本能と破壊衝動を十二分に満足させてくれる映画であると同時に、なすすべもなく捻り潰される人間たちの姿に「見ろ人がゴミのようだ」という神視点の全能感をも覚えることができるという非常に情操性の高い優れた作品でもあるわけなんですよ。言ってみればゴジラもコングも怪獣であると同時に超自然的なある種の「神」でもあるわけで、これら神々の前でいかに人間が非力で矮小な存在であるかという原初的な【畏れ】を描くのがこれら怪獣映画でもあるのではないでしょうか（思い付きで書いてます）。

映画にはコングやゴジラ以外にも怪獣的な何かが数種類登場し、これらもいい具合に賑やかしになっています。そして何しろ結構な【びっくり展開】が結構びっくりさせてくれるので （頭の悪い文章）、予告編で観られる光景以上のものを期待して劇場に足を運ばれてもよろしいのではないかと思います。