何度もコンティニューして敵を撃破しろ!/映画『コンティニュー』

コンティニュー  (監督:ジョー・カーナハン 2021年アメリカ映画)

f:id:globalhead:20210606131703j:plain

ゲームオーバーになっても「コンティニュー」すれば何度も同じゲームにチャレンジができるように、「何度も同じ時間軸を繰り返してしまう!」というお馴染みタイムループものテーマのSF映画であります。主演の「コンティニュー男」を『キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ』シリーズのフランク・グリロが演じ、その妻をナオミ・ワッツ、さらにイケズな敵役をメル・ギブソンが演じているのも見どころ。監督は『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『バッド・ボーイズ フォー・ライフ』のジョー・カーナハン。 

 元デルタフォース特殊部隊員のロイは、毎朝、目覚めた瞬間に謎の殺し屋に襲われ、殺される日を繰り返していた。銃で撃たれ、爆弾で吹き飛ばされ、刃物で刺され、何度殺されても生き返るロイは、生と死のループを繰り返し、同じ1日を無限に生きていた。死のループから抜け出すために何度もトライ&エラーを重ねる中、科学者である元妻からタイムループの鍵を握る極秘計画の手掛かりをつかむ。真実を暴き、追われる身となった元妻を救うため、自ら殺し屋集団のもとに出向いたロイは、計画の責任者である軍属科学者ヴェンター大佐の居場所を突き止めていく。

コンティニュー : 作品情報 - 映画.com 

それにしても「タイムループ」映画、『オール・ニード・ユー・イズ・キル』や『ミッション:8ミニッツ』といったSF作品、『トライアングル 殺人ループ地獄』や『ハッピー・デス・デイ』といったホラー作品、最近公開された『パーム・スプリングス』など沢山作られていて、このテーマへの関心の高さがうかがえます。その根本にあるのは「同じ時間を繰り返す」という不条理感、「何度もやり直して成功に近づける」という非現実的なゲーム感覚、それと併せ「あの時こうしていたら」という後悔や悔恨をやり直せるというファンタジーがその中で再現されるからでしょう。

この『コンティニュー』はなんだかよくわからないSF的な理由により同じ朝に何度も目覚め沢山の殺し屋に命を狙われ、殺されてはまた蘇って敵の撃破術を学びながら謎の核心に近づいてゆくという物語です。「タイムループ」テーマの作品としてはオーソドックス過ぎるほどの作りですが、ではどのあたりで他の「タイムループ」映画と差別化されていのでしょう。

まず全体にゲーム的展開にコミック調のキャラクターやアクションがフィーチャーされているという点でしょう。これらは最近公開されたダニエル・ラドクリフ主演の殺人ゲーム映画『ガンズ・アキンボ』と通じるものを感じます。そしてコミック調であるがゆえに、タイムループの理由や原理に突っ込んで言及せず、またミステリアスな展開に持ち込むことなく、シンプルに痛快アクションに徹しているという点でしょう。

しかしある意味ありがちと言えるこの物語を最も引き立てているのは、主演のフランク・グリロの、ダルくガサツで草臥れきったキャラクターと言えるでしょう。同時に敵役を演じるメル・ギブソンの食えない悪党ぶりも物語を大いに盛り立てます。そして殺伐とした男たちの世界でナオミ・ワッツの輝きはこの物語に大きく寄与しているでしょう。言うなれば平凡になりがちな物語を出演者の魅力で見せているのがこの作品だともいえます。

そういった部分で、「タイムループ」映画としての新鮮さは無いにせよ、俳優たちの存在感で安心して楽しめる映画になっていると言えるでしょう。ややこしいことは抜きにして、徹底的におバカなアクションを気楽に楽しむ、それがこの『コンティニュー』なんですね。なんですね。なんですね。なんですね。……ああっ!?何度も繰り返してる!?

トライアングル [DVD]

トライアングル [DVD]

  • メリッサ・ジョージ
Amazon