ガンズ・アキンボ (監督:ジェイソン・レイ・ハウデン 2019年イギリス・ドイツ・ニュージーランド映画)
ちーっす!俺ダメ人間のマイルズでーっす!職場じゃイジメの餌食だしその職場もクビ寸前だし彼女にはフラれるし、楽しみといえば部屋で酒かっ食らいながらネットにクソリプ書き込みまくって鬱憤を晴らすことなんどぅえっす!そんなわけで本物の殺し合いを生配信する「スキズム」とかいう闇サイトでクソリプ書き込みまくってたんっすが、そしたらアナタ、サイトの連中が部屋に乗り込んできて俺の両手に銃をボルト締めし、「テメエも殺人ゲームに参加してみろや!ギャハハ!」とか言ってるじゃないっすか!相手は「スキズム」最凶の女殺し屋ニックス!いやいやいや!ムリっすよ!そんなのムリっすよおおお!!
……とまあそんな粗筋の映画『ガンズ・アキンボ』である。腰抜けヘタレ野郎が殺人ゲームに強制参加させられ、イカレた殺し屋パンクねえちゃんに命を狙われ、涙目になりながら街を逃げ回る!タイムリミットは24時間、こっそり街から出ようとしても殺される!両手に銃持っちゃってる(固定だけど)からお巡りさんも助けにならない!ゲームを終わらせるためには相手を殺すか自分が殺されるかどちらかしかない!果たして腰抜けヘタレ野郎に生き延びる術はあるのか!?無さそうだけど!?
腰抜けヘタレ野郎マイルズを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフ。よりによってダニエル君、なんでこんなアホな映画に!?とは思ったが、ダニエル君は既に『スイス・アーミー・マン』という限りなく変な映画にも出てたし、全然違和感無かったなあ!下着の上にガウン羽織っただけの格好で街を逃げ回る姿の情けなさは確信犯的にハマッてたなあ!しかも両手に銃固定だからモノがまともに掴めない!ドアを開けるのさえ一苦労!オシッコはなんとかしてたけど、ウンチした後尻を紙で拭くのはどうするんだ!?映画の間中そればっかり気になっていたぞオレは!?しかし両手使えないのに車運転してたからなんとかクリアできたのか!?
一方相手役の殺し屋ニックスもなかなかにイカレた女でそのイカレぶりがまたイカシてる!ルックスがパンクなら行動も言動も皆パンク!マイルズ追跡の邪魔になる連中もとりあえず目障りだから次々にぶっ殺す!こうしてマイルズとニックスの通った跡は銃弾と死体だらけ!さらにニックスの背後にいる「スキズム」の皆様が怖~い方たちばかりで、仕舞にはマイルズの元カノまでさらって殺し合いを強要する!こんな具合に、ゲームやコミックを思わす馬鹿馬鹿しくもまた荒唐無稽なノリで物語は爆走し、大いに盛り上がってくれるんだな!
物語の背後にある闇サイト「スキズム」はYouTubeやTicTokみたいな動画配信サイトなんだが、ここで行われる殺し合いを無責任に楽しみ盛り上がる視聴者たちの姿は、なんでもかんでもコンテンツとして消費し、それが配信者と視聴者の間で無制限にエスカレートしてリテラシーがどんどんジリ貧になっちゃってる今のネット社会への皮肉にもなっていたかな!ネットにクソリプ飛ばすのを趣味にしていたマイルズが今度はその当事者にさせられて半死半生の目に遭っちゃうのって、因果応報ってヤツだわな!この世はクソだけどネットも十分にクソ、そんなクソからクソへと地獄巡りしたニックスが「生きる」ってことに無理矢理目覚めさせられるのがこの物語ともいえるかな!