映画『スカイスクレイパー』はタワーリングインフェルノなダイハードだったッ!?

スカイスクレイパー (監督:ローソン・マーシャル・サーバー 2018年アメリカ/中国映画)

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テロリストに急襲され絶賛大火災中の高さ1キロはあろうかという高層ビルに家族を救うため文字通り”飛び込んじゃった”ガタイのいいオッサン(元特殊部隊)の大活躍を描くアクション・ムービー『スカイスクレイパー』でございます。

まああちこちで指摘されている通り『タワーリング・インフェルノ』(1974)で『ダイハード』(1988)な内容の作品で、さらに『燃えよドラゴン』(1973)そっくりの展開と『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)もかくや、と思わせる高所恐怖症アクションが取り入れられているわけですな。

名作アクション映画のオイシイトコ取りといえばそこまでですが、70年代80年代アクションを現在の映画テクノロジーで再話したとも言えるわけだし、併せて主演のドウェイン・ジョンソンが彼独自のマッチョ・カラーなテイストを加味することにより、決して二番煎じに留まらない愉快痛快娯楽作品として仕上がっていたとオレは思うなあ。

この作品の見所を幾つか紹介してみると、まず舞台となる高層ビル「ザ・パール」の威容でしょう。高さ1キロとかもう訳の分かんない高さで建てられたこのビルの作り自体が既にもうSFで、もちろんこれはSF作品じゃないんですが、いわゆる「近未来ハイテクスリラー」って見方もできるんですよね。特にビルの真ん中ほどに数階をぶち抜いた公園があったりとか巨大タービンが回ったりとかしていておおよそ現代のビルの概念を覆してますが、これが実はその後のアクション展開に大いに寄与していて、なかなか上手いなあと思わされましたよ。

次に主演のロック様ことドウェイン・ジョンソン演じる主人公ウィルが片足が義足であるという設定でしょう。これによりそもそもその存在自体が無敵のムキムキタフマッチョにしか見えないロック様演じる主人公が、大きな弱点を抱えていてそれにより窮地に立たされ、観客みんながドキドキハラハラ!というシナリオが可能なんですね。いつもはマッチョなロック様が弱さを併せ持ち、その弱さを乗り越えて家族のために戦う、という部分で、ロック様映画史上最高にカッコいいロック様だったんじゃないか思えましたね。しかし足がウィークポイントの豪傑ってギリシャ神話のアキレウスを彷彿させて面白いですね。

もう一つは火災の起こったビルに取り残されたのがビルのオーナーとその側近、主人公ウィルの家族、そしてテロリスト集団だけである、という点でしょう。これにより『タワーリング・インフェルノ』みたいなゴチャゴチャした人間関係は無しとなり、『ダイハード』みたいな人質を巡るあれやこれやで時間を取られることもなく、「家族を助けたいウィル」と「ビルオーナーを狙うテロリスト」というそれぞれの思惑が交差する形のシンプルなシナリオを生み出し、物語にスピード感を生んでるんですね。

ただ今作はアメリカ・中国合作ですが、東洋勢の配役にあまり魅力を感じなかった、というのが残念でしたね。ビルオーナー役のチン・ハンは『ダークナイト』(2008)に引き続き安定の胡散臭さでなかなか楽しませてくれましたが、怪しい女殺し屋役ハンナ・クイリヴァンは結構イイ線まで行ってたけどもう一個残虐に突き抜けてほしかったし、捜査官役のバイロン・マンは実は物語でたいしたことやってないという体たらくで、ここはロック様に負けない東洋人パートナー役を一人立てて欲しかったなあ。しかしロック様に匹敵しようなんてちょっと荷がかちすぎるか……。まあどっちにしろお気楽に楽しめるアクション映画なんで十分お勧めできると思いますよ!

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