■トゥームレイダー ファースト・ミッション (監督:ローアル・ユートハウグ 2018年アメリカ映画)
■ゲームと映画、新旧『トゥーム・レイダー』の違い
アンジェリーナ・ジョリー主演で2001年に公開された映画『トゥーム・レイダー』のリブート作、『トゥームレイダー ファースト・ミッション』でございます。
皆さんご存知かと思いますがこの映画は1996年に発表された同名アクションゲームシリーズの映画化で、主人公キャラであるララ・クラフトはゲーム界にその名を轟かす大人気キャラなんですね。内容は映画『インディ・ジョーンズ』の女性版といいますか、主人公ララが秘境に分け入り様々な危険を乗り越え古代財宝の秘密を探るというもの。オレも何作かやりましたが、ゲーム自体はムズいんですが、なんかこう、タフでスポーティーな女性キャラを操作することの喜び、それがこのゲームにはありましたな。
そのゲームがなぜまた最近リブート映画化されたかというと、これがゲーム自体がリブートされ、最新ゲームテクノロジーでもって新たなキャラクター・ビジュアルに生まれ変わったからなんですな。
分かりやすく画像を引用してみますと、1996年版ゲームのララ・クラフトはこんなでした。セガサターンやPS1の時代です。
この時代のゲーム・テクノロジーを感じさせるカクカクのポリゴン表示でしたが、これが当時のゲーム好きを熱狂させたのですよ。いやあしかしなんといいますか、ピラミッドみたいなオッパイですなあ。
こんなララ・クラフトを肉食系の美人女優アンジェリーナ・ジョリーで映画化するとこんな感じになりました。
タフそうで雰囲気出てますよね。なんかこうマッチョでギラギラした女性キャラですよね。
そしてゲーム第1弾が発売されてから17年後の2013年、ララ・クラフトのキャラを一度白紙に戻し、大学卒業したての彼女が財宝探しを始めるきっかけとなる事件から描くこととなった新生『トゥーム・レイダー』が発売されます。この頃の最新コンシューマー機はXBox360とPS3。
いやあ第1弾と比べるとグラフィックはさすがに隔世の感があります。そして設定年代のせいもあって若くて線が細く、より女性的です。そしてこのゲーム、マンネリ化しつつあったシリーズに新風を巻き起こし大ヒットしました。オレもこの新生『トゥーム・レイダー』はプレイしましたが、メチャクチャ面白い、本当に名作ゲームでしたよ。
この新生ララ・クラフトを映画化した今作『トゥームレイダー ファースト・ミッション』ではララを『エクス・マキナ』(2015)、『ジェイソン・ボーン』(2016)のアリシア・ビカンダーが演じます。彼女が演じるララはこんなです。
新生ゲーム『トゥーム・レイダー』と同じく、若くて線が細くてまだまだ弱弱しさが残っています。
映画『ファースト・ミッション』はアンジョリ版映画『トゥーム・レイダー』のリブートというよりは新生ゲーム『トゥーム・レイダー』の映画化と言ったほうが正しいでしょう。どちらにしろ旧作・新作の違いは、主人公となる女性キャラが「タフでマッチョ」だったものが「フェミニンで自然体」である、ということです。
これはある意味、女性が男社会で生きていくために「タフでマッチョ」であらねばならなかった時代から、「自分らしく自然体」でも普通に堂々と生きていける時代になってきた、その時代の変遷が現れているのかもしれません。
■映画『トゥームレイダー ファースト・ミッション』
んなわけでやっと映画の話になりますが、物語それ自体は2013年版ゲーム『トゥーム・レイダー』をなぞる形になっています。日本のどこかにある絶海の孤島に隠された卑弥呼の謎を探る為、ララが初めての冒険の旅に出るというものです。ゲームと違うのはそこに行方不明の父という要素が入る事の他、冒険の旅を決意する以前のララの生活が描かれているといった部分でしょう。これにより、ララ・クラフトという女性にリアルな肉付けをしようとしています。
卑弥呼があたかも魔女のように描かれているあたりは日本人には「そりゃちょっと違うだろ」と思うかもしれません。まあしかしオレとしては面白い脚色じゃないの?ぐらいの感想でしたが。物語にはいろいろ無理がある部分や荒唐無稽すぎる部分が散見しますが、ゲームのストーリーを生かそうとした結果のちぐはぐさだったのでしょう。
それよりもやはり、ゲームをとことん彷彿させるアクションがなにしろいい。飛んだり跳ねたり絶壁をよじ登ったりというゲームでしたから、それが映画にきちんと反映されているのがとても楽しい。弓矢やピッケルというアイテムが出てくるだけでも嬉しい。この辺、ゲームをプレイした人としてない人では反応が違うかもしれません。それとやはりトラップの仕掛けられたダンジョンですね!ダンジョンといえばトラップ!
そんな具合に、整合性の乏しいシナリオに目をつぶればまずまず楽しめるアクション作として観る事ができるでしょう。とはいえ惜しむらくは、やはりゲームの楽しさは超えていない、ということですね。ゲーム内にあった様々な危機や謎解きやアクションを割愛したダイジェスト版を見せられているようにしか思えなくてやはり物足りなく思えるのですよ。ゲームには無い映画序盤の描かれ方のほうが物語としては充実しているのですよ。この辺は監督の力量の限界だったのかなあ。そうそう、この序盤、あのニック・フロストが出ていて、短い時間ですがとても存在感あったなあ。これはちょっとみっけものでしたね。
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