オレ的映画オールタイムベストテン2017!!!

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◆オレ的映画オールタイムベストテン2017!!!

というわけでブログ『男の魂に火をつけろ!』で企画している『映画オールタイムベストテン:2017』に参加させていただきたいと思います。早速ですが1位はいきなりあの映画!?

《オレ的映画オールタイムベストテン2017》

1.ブレードランナー 2049 (2017年、監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

2.マッドマックス 怒りのデス・ロード (2015年、監督:ジョージ・ミラー

3.銃弾の饗宴‐ラームとリーラ (2013年、監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー)

4.アンダーグラウンド (1995年、監督:エミール・クストリッツァ

5.ホーリー・マウンテン(1973年、監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

6.エル・トポ (1969年、監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

7.ダークナイト (2008年、監督:クリストファー・ノーラン

8.PK ピーケイ (2014年、監督:ラージクマール・ヒラーニー)

9.イングロリアス・バスターズ (2009年、監督:クエンティン・タランティーノ

10.ラガーン (2001年、監督:アシュトーシュ・ゴーワリケール)

◆今から振り返るオレの10年前のベストテン

ところで『映画オールタイムベストテン:2017』ってナニ?という方もいらっしゃるかと思いますのでざっくり紹介を。

上記リンクにも書かれていますが、ブログ主催のワッシュさんは「映画ベストテン」企画を様々なお題を元に2007年からやられているんですね。このオレもしょっちゅう参加させていただいておりました。

その最初である2007年が「映画オールタイムベストテン」だったんですが、10年前、オレがこの企画に参加したときの「映画オールタイムベストテン」がこんな感じでした。

《オレの2007年当時の映画オールタイムベストテン》

1位:地球に落ちてきた男(監督:ニコラス・ローグ 1976年イギリス映画)
2位:ブレードランナー(監督:リドリー・スコット 1982年アメリカ映画)
3位:タクシードライバー(監督:マーティン・スコセッシ 1976年アメリカ映画)
4位:ビデオドローム(監督:デヴィッド・クローネンバーグ 1983年カナダ映画
5位:マッドマックス2(監督:ジョージ・ミラー監督 1981年オーストラリア映画)
6位:ファイトクラブ(監督:デヴィッド・フィンチャー 1999年アメリカ映画)
7位:遊星からの物体X(監督:ジョン・カーペンター 1982年アメリカ映画)
8位:ファントム・オブ・パラダイス(監督:ブライアン・デ・パルマ 1974年アメリカ映画)
9位:パルプ・フィクション(監督:クエンティン・タランティーノ 1994年アメリカ映画)
10位:新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に(監督:庵野秀明 1997年日本映画)

で、自分のこのときの記事を眺め渡しながら「オールタイムとは言いつつ、このベストテンは今の気分にはちょっとそぐわないな」と思ったんですよ。

10年といやあ結構な年月で、オレも46歳のオッサンから56歳のクソジジイに成り果てており、そしてその間それなりに考え方や感じ方が変わったり、単に老化してボケが進行したりしており、10年前にベストに思えたものが、今はあまり魅力を感じなくなってきているんです。そしてその10年の間には、それなりに沢山の映画を観ており、その中には、かつてのベストテンを超える作品も幾つもあるんですよ。

それと、2007年のベストテンは、オレの青年期のベストテンなんだな、と思うんです。まあ、いってみりゃあセーシュンです。そのセーシュンの時期に観た『タクシードライバー』には非常に生々しい衝撃を受けましたが、56歳になってみると、今のオレはもう『タクシードライバー』じゃないなあ、と強く感じるんですよ。

そんなことを考えながらオレの今の気分でベストテンを並べてみたら、21世紀になってから公開されたか、あるいはオレが21世紀になってから初めて観た旧作ばかりになりました。

◆「オレ的映画オールタイムベストテン2017」の一口コメント

1.ブレードランナー 2049 (2017年、監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

BLADE RUNNER 2049 (SOUNDTRACK) [2CD]

BLADE RUNNER 2049 (SOUNDTRACK) [2CD]

 

「オレ的オールタイムベストテン2017」堂々の第一位はなんとついこの間公開された『ブレードランナー2049』!当然今年観た映画のナンバーワン!賛否両論あるようだがオレがこの作品を愛して止まないのは、自分にとって「世界が一個本当にそこにあった」と感じたこと、これに尽きる。没入感が物凄かった。2049年の架空の未来世界なのもかかわず、さっきまでこの世界に住んでいたようにすら感じた。その中でオレは主要人物でもなんでもないけど雑踏をうろついているどこかのおっさんの一人だった。オレは、この映画を観返せば、いつでもまたあそこに帰れるのだとすら思った。なにか、魂的なものにより、強烈な吸引性を感じるのだ。そしてこの作品は『ブレードランナー』1作目を包含しているという意味で1作目『ブレードランナー』もまたオールタイムベストテンである、ということができる作品だ。2.マッドマックス 怒りのデス・ロード (2015年、監督:ジョージ・ミラー

人の人生には節目というものがあり転換期というものがある。それまでの自分から脱却してもう一回り大きな、または新たな自分になるという時期のことだ。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は数十年続いたいち映画ファンの"映画体験"を別物に変えてしまうような、”映画的事件”だったのだと思う。オレは未だにあの荒野が忘れられない。男たちの咆哮と女たちの叫びが忘れられない。この映画からは映像や音響だけではなく臭いや温度や湿度までが滲み出していた。映画を超えてひとつの"体験"にまで高められた畢竟の名作に間違いない。

3.銃弾の饗宴‐ラームとリーラ (2013年、監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー)

オレのこれまでの映画体験を根こそぎひっくり返し、全く別の地平へと向かわせたもの、それはインド映画との出会いである。そしてその決定的かつ衝撃的な映画作品がこの『銃弾の饗宴‐ラームとリーラ』だ。美術、音楽、風俗、文化、なにもかもが別次元だった。それは、それまで見知っていた欧米文化としての映画作品とは全く別個の、それまで全く知らなかった異質な文化との激突事故だった。この作品に衝撃を受けてから様々なインド映画を観て、この作品よりも完成度の高いであろう作品にも幾つか出会いはしたけれども、それでも、決して忘れられない出発点だったインド映画こそがまさにこの作品なのだ。

4.アンダーグラウンド (1995年、監督:エミール・クストリッツァ

アンダーグラウンド Blu-ray

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ここ10年で、作品それ自体のみならずそもそもの監督の作風に魅せられたのが誰あろうエミール・クストリッツァだ。クストリッツァの作品において登場人物たちは調子っぱずれな狂騒の中夢とも幻ともつかない非現実の世界へと滲み出す。それは悲惨でさもしい現実からの逃避なのか、それとも新たに獲得したもう一つの現実なのか。そのどちらであろうと、現実の皮一枚向こうにあるその世界に、クストリッツァは剥き出しの喜びと悲しみを映し出そうとする。そのクストリッツァの映画『アンダーグラウンド』は、祖国亡失という絶望の中で作り上げられた、あたかも怒りの神話とも言える壮絶な名作なのだ。

5.ホーリー・マウンテン(1973年、監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 

ホーリー・マウンテン HDリマスター版 [Blu-ray]

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オレの敬愛する映画監督はここ10年で出会った二人の監督、一人がエミール・クストリッツァであり、もうひとりがこのアレハンドロ・ホドロフスキーである。この二人は、もはや唯一無二とも言える強烈な独自の 世界を持ち、観る者を簡単に異次元へと叩き出す。映画『ホーリーマウンテン』の異様さ、尋常の無さは只事ではない。ここで描かれるのは神秘主義であり占星術であり錬金術である。ここにはありとあらゆるオカルティズムが横溢するのだ。同時にこの映画は十分に滑稽であり残酷であり美しくもまた醜悪だ。神話のようでいて漫画のようですらある。これらが混沌と混ざり合いながら奔出する映像とその物語はどこまでもサイケデリックでありドラッギーだ。こうしてどこまでも異様な世界に遊びながら最後にポトン、と現実に戻ってくる。それがまた素晴らしい。

6.エル・トポ (1969年、監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

エル・トポ HDリマスター版 [Blu-ray]

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かつて岡本太郎は言った、「芸術ってのは判断を超えて、『何だ、これは!』というものだけが本物なんだ」と。オレが初めてホドロフスキーの映画を観た時に感じたことは、まさにこの、『何だ、これは!』だった。そういった意味でホドロフスキーの映画は"芸術"ではあるが、しかしホドロフスキーのその"芸術"は、ただ美しいだけではなく、醜いもの、汚れたもの、異常なものさえもが所狭しと詰め込まれている。ただしそれは露悪的なのではなく、その衝撃こそが生そのものであり、生の生々しさなのだ、ということを伝えるのだ。この『エル・トポ』も、生々しさと醜悪さの中に崇高さが宿るという異様で美しく魂を切り刻むかのような過激さに溢れた物語だ。ホドロフスキーが好き過ぎて、今回のベストテンには2作も入れちゃったよ!

7.ダークナイト (2008年、監督:クリストファー・ノーラン

 正義狂人バットマンと悪の狂人ジョーカーという狂人同士の戦いは暴力の上に暴力が積み重なり最後に破壊と死しか残さないという虚無的な抗争へと発展する。善悪の彼岸とかいう名目上のテーマはその時破綻し狂人たちが行使し応酬しあう暴力の興奮のみにどこまでも酔い痴れることが出来るというのがこの映画の異様さだ。ただただ暗黒のみが広がる神無き世界の黙示録、それが『ダークナイト』だということができるかもしれない。

8.PK ピーケイ (2014年、監督:ラージクマール・ヒラーニー)

PK ピーケイ [Blu-ray]

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欧米の映画を観るときに気付かされることは、そこにある"神"が”隠されている”ということだ。製作者たちは"神"の事など少しも気にしていないし描くつもりも無くとも、注意深く観ると映画の画面の裏側から欧米人の深層心理の底にある”神”の姿がうっすら透けて見えて来る。しかも、実はこの"隠された神"の姿こそが、物語の主軸であったり真相であったりする。結局欧米人は合理性を気取りながら"神"の掌から逃れられていないことを認識していないのだが、その点、インド映画は真正面から臆面もなく【神!!】とやっているばかりか、欧米的な【原罪】と全くの無関係である、という点で、奇妙に明るく【神!!】の話を描くことができる。あとは凝り固まった因習からどれだけ逃れることが出来るかなんだが、映画『PK』をそれを軽やかに遣り遂げているという点で、現在地球上で観ることのできる【神と宗教】についての映画の最高峰なのではないかと思う。

9.イングロリアス・バスターズ (2009年、監督:クエンティン・タランティーノ

いや実はタランティーノの映画はどれも好きで、だからどれを入れてもよかった、そして入れるべきだった、前回のベストテンでは『パルプ・フィクション』を入れた、ああ、あれは最高の映画だった、そして今回は『キル・ビル Vol.1』にしようかと思った、そう、あれも最高の映画だった、けれど、今のタラ映画と比べると少し古臭く感じた、じゃあどの辺かな?と考えた時にこの『イングロリアス・バスターズ』が今の所いい具合に熟成されてきていると思った、なによりフランス女優メラニー・ロランがいい、もちろんクリストフ・ヴァルツもいい、いやイーライ・ロス だって大概なもんだった、そんなことをあれこれ考えるのが楽しかったのでこの作品にした。

10.ラガーン (2001年、監督:アシュトーシュ・ゴーワリケール)

ラガーン [DVD]

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 今回のベストテンにはこの作品を含めインド映画が3本入っている。結局「オールタイムと言っていいぐらい強烈に印象に残っている映画」というと、やはりインド映画が多くなってしまうのは致し方ない。ただし今回のベストテンでは、あくまで「一般劇場ないし日本語字幕・吹替のあるソフトの形で日本で公開されたことのある映画」という縛りにしてあるので、この3作がオレにとってインド映画最高の3作という訳ではない。とはいえこの『ラガーン』、搾取と差別と植民地支配というある種重いテーマを「じゃあスポーツで解決しよ!」と単純化し、そしてその試合内容の手に汗握りついでにオシッコも洩らしちゃいそうになるような凄まじい展開で血管もブチ切れよとばかりにとことん盛り上げまくる一級の娯楽作に仕上がっており、いやこれもインド映画というよりオレがこれまで観たスポーツ映画の最高峰なんではないのかとすら思っている。観なよ。凄いから。世界にはこんな驚くべきスポーツ映画があるんだから。