最近聴いたエレクトロニック・ミュージック

◆新しい日の誕生 / 2 8 1 4


映画『ブレードランナー』を思わせる勘違い日本語のネオンサインが瞬く高層ビル群をジャケット写真とし、アルバムタイトルが日本語で「新しい日の誕生」。収録曲も「新宿ゴールデン街」とか「ふわっと」とか「ヒアイ(悲哀)」とか日本語読みの曲名ばかりで、製作者はというと「T e l e P a t h テレパシー能力者」と「Hong Kong Express」のコラボ作品だということらしいが、結局日本人なのか日本製なのか皆目わからない。なんだかキワモノめいた感じであるが、しかし内容はというと、これが、いい。非常にエモーショナルなアンビエント・サウンドで、「ヴェイパー・ウェイブ」と呼ばれるサウンド・ジャンルの一つでもあるらしい。確かに都市生活の悲哀や孤独を感じさせると同時に、未来的であり、どこか夢見る様な美しさも兼ね備えてる。それが都市のネオンの毒々しい輝きなのか、ひと時の愛の安らぎなのか、それは分からないけれども、少なくとも、密やかな希望がその曲調から感じることができる。これらがアルバムジャケット、曲タイトルなどのトータルなイメージも動員させながら静かに心に沁みいってくるのだ。得体こそ知れないが、これは名作なのではないか。特に7曲目「テレパシー」の夜明けの様な爽やかな穏やかさ、そしてラスト8曲目の13分にのぼるトラック「新しい日の誕生」のたゆたう水面を想像させるSEと寄せては返す音の煌めきはどこまでも心を開放させてくれる。今回のゲキ推し。なおAmazonだと600円。 《試聴》

◆Fabric 83: Joris Voorn / Joris Voorn

Fabric 83: Joris Voorn

Fabric 83: Joris Voorn

Fabricの83番は既にベテランDJとして認知されているJoris Voorn。アルバムの曲数は20曲となっているが、実は55曲ものトラックを時には5曲同時にミックスしてみせるなどして製作された超絶ミックスアルバム。Joris Voornによってレイヤリングされたこれらのトラックは既に彼によってインスパイアされた別のトラックとして生まれ変わっている。そしてそのどれもがJoris Voorn独特の曙光のような美しさを湛えているのだ。Fabric作品としても完成度が高く、今回の一押しアルバムとしてお勧めしたい。 《試聴》

◆L'etreinte Imaginaire / Auscultation

L'étreinte Imaginaire

L'étreinte Imaginaire

まるで昭和歌謡の様なジャケットで一瞬驚かされるアルバムだが、これはアメリカ西海岸を拠点にするインディ・ハウス・レーベル「100%Silk」からリリースされたAuscultationのニューアルバム。AuscultationはGolden DonnaことシンセシストのJoel Shanahanによる別プロジェクトであるらしい。全体的にメランコリックで心安らぐようなアンビエント・ハウスを聴くことができる。これもよく聴いたなあ。 《試聴》

Cocoon Compilation O / Various Artists

Cocoon Compilation O

Cocoon Compilation O

SVEN VATH総裁により率いられるミニマル/テックハウス・レーベルCocoon Recordingsによる最新コンピレーション。オレはCocoonみたいな分かりやすい流行りもののテックハウスも結構好きで、このコンピもお気に入りの一枚だ。 《試聴》

◆orphaned deejay selek 2006-2008 / AFX

リリースラッシュの続くエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームスがまたもやリリースしたのはもう一つの別名ユニットAFXのニューアルバム。時代も流行も関係ないさ!という我が道を行ってるAFX流変態アシッド。 《試聴》

◆Neither/Neither (Bleep digital bonus track edition) / The Black Dog

NEITHER/NEITHER

NEITHER/NEITHER

UKテクノの御意見番The Black Dogのニューアルバムは16曲55分の短く不穏なアンビエント曲が連なる。個人的にはフロアな作品が聴きたかったが。 《試聴》

◆Nyanza (Bleep Exclusive Version) / Owiny Sigoma Band

Nyanza [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW142)

Nyanza [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW142)

ケニア・UK混成バンドOwiny Sigoma Bandの作る曲はいわば打ち込みアフリカン・サウンド。オーガニックなリズム&メロディとテクノのマシーン・サウンドが混然一体となった面白アルバム。 《試聴》

Kompakt: Total 15 / Various Artists

KOMPAKT TOTAL 15

KOMPAKT TOTAL 15

恒例、ドイツ・ケルンのKompaktレーベルコンピレーション「Total」シリーズの15番目、CD2枚組全24曲。Kompaktはもうテクノとかハウスとかいうよりもスタンダードなポップ・ミュージックですらあるよなあ。アブナイ所は全然ないが聴きやすいセンスはしていると思う。 《試聴》

CMYK / Atom TM


この間聴いたAtom TMのシングルがとてもよかったのでこの最新アルバムも聴いてみたが、なんとこれが全30曲によるAtom TM流音楽玉手箱といった内容で、電子音楽のみならず実験的なサウンド・コラージュがわんさか詰め込まれ、テクノとかダンス・ミュージックというものでは全然無くてびっくらこいた。なかにはサマンサ・フォックスの「Touch Me(I Want Your Body)」やマイケル・センベロの「Maniac」のマリンバ・バージョンだのも収録されており、もう訳が分からない。 《試聴》

◆Moha / Deepbass

Moha

Moha

Soma RecordsからリリースされたDeepbassによるニューシングル。ベース・ミュージック風味のミニマル・テクノ《試聴》

◆Persuasion / Blondes

Persuasion

Persuasion

NYアンダーグラウンド・レーベルRVNG Intからリリースされたシンセ・デュオBlondesのニューシングル。 《試聴》

◆Scatter / Detboi

Scatter

Scatter

ロンドンのレーベルKeysoundからリリースされたDetboiのシングル。ベースミュージック/ブレイクビーツ《試聴》