年末年始にダラ観したDVDだのなんだの

トランスフォーマー/ロストエイジ (監督:マイケル・ベイ 2014年アメリカ映画)

「あーもう4作目かあ…キャスト変わってるらしいけど、どうせいつも通りなんだろうなあ…」と思い劇場はパスしたが、レンタルで観てみたら、これがなんと、滅法面白く出来てて逆にびっくりした。冒頭のアメリカ田園風景とか発明バカオヤジとか父娘の確執とか、その辺は果てしなくどうでもいいのだが、物語を単純化してる分、本来の主役であるオートボットたちに必然的に目が行くのだ。さらに今回、アメリカ海兵隊が出てきてドンパチ始める、という展開が全く無かったのがいい。あれはあれで楽しかったにせよ、やはりオートボットの影が薄れるのだ。なにしろ今回はオートボットそれぞれの個性が非常に豊かであり、それゆえにそれぞれの個性を活かした活躍を十分堪能できるところがいい。また途中から登場する恐竜タイプのロボットは、最初低年齢層向けの受けを狙ったもののように思えて鼻白んだが、実際動いてるのを見ると結構パワフルに活躍しているうえに強力で、これも観ていて楽しかった。また今回は、画面に目一杯あれやこれやをごちゃごちゃ写し込む物量作戦を止め、敵なり味方なり単体もしくは対峙する姿にフォーカスする写し方をしているせいで、1対1体のキャラの動きがすっきりと確認でき、その分魅力的に見ることができた。中国ロケも実に目新しく、これも好印象。ううむなんだかベタ褒めじゃないかオレ。Blu-rayまで欲しくなったぞ。あとは「強大なパワーを秘めたあるアイテムを巡る追っかけっこ」という1作目から全く様変わりしないストーリー展開をどうにかすればいいと思う。

■ザ・ヘラクレス (監督:レニー・ハーリン 2014年アメリカ映画)

今更レニー・ハーリン監督に期待するものなど何も無く、この映画も「古代ギリシャが舞台のコスチュームプレイが観られりゃそれでいいや」程度の気持ちで観始めたのだが、あにはからんや、これが思いの他面白い作品だった。これには個人的理由もあったので後で書く。まあなにしろギリシャ神話の英雄ヘラクレスの物語、しかも監督レニー・ハーリン、ということで大雑把な作品を予想していたが、大雑把なりに見せ場を設け、楽しませてくれた部分がいい。冒頭のヘラクレスとヒロインのキャッキャウフフシーンが相当観る気を殺いだがそこからがいい。奴隷となったヘラクレスの剣闘士エピソードが魅せるのだ。このシーンから『グラディエーター』『300/スリーハンドレッド』あたりが引き合いに出され、その二番煎じ的な見方をする評もあるだろうが、実はそうではないのだ。実はこのシーンはアメリカケーブルTVの歴史バイオレンスシリーズ、『スパルタカス』への強烈なオマージュとなっているのだ。なぜならその証拠に、この作品には『スパルタカス』に主演していたリアム・マッキンタイアがサブキャラクターとして出演してるではないか!最初知らずにこの映画を観ていたが、リアム・マッキンタイアの姿を発見した時は大いに驚いたし喜んだ。これはドラマ『スパルタカス』の熱心なファンだったオレぐらいにしか分からないものだとは思うが、だからこそリアム・マッキンタイアの姿を発見した瞬間からオレにとってこの映画はあっという間に格が上がったのである。それは別にしても剣闘シーンはこれまで観た同工の作品と比べても工夫が多く楽しむことができた。クライマックスでの「遂に神の力を得たヘラクレス」の大立ち回りは適度に馬鹿馬鹿しいがこれも許容範囲だ。

■ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪 (監督:ツイ・ハーク 2013年中国/香港映画)

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪 [Blu-ray]

ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪 [Blu-ray]

ツイ・ハークの作品はこれまで何作かは観ていると思い調べてみたが、並んだタイトルだけ見てもどれがどれだか判別付かない。それにしても中国の方かと思っていたらベトナム生まれの方だったのらしい。さてこの『ライズ・オブ・シードラゴン』、「モンスターでカンフーでなにやら楽しそう」と思って観始めたのだが、観終ってみるとどうも最初の期待とは違う作品だった。モンスターでカンフーなのは間違いないのだが、登場人物たちのキャラクターが四角四面過ぎて面白味が無いのだ。もうちょっと馬鹿馬鹿しくはっちゃけて欲しかったのだ。アクションにしても、何やら伝統芸能を見せられてるいるようで、何かテンポが違う。モンスターの一人も、ワルモノのように見えて、実は…というのもなんだか煮え切らない。きっと期待の仕方が間違っていたのだろう。唐朝末期を舞台にした探偵物語という設定は面白かった。

ポンペイ (監督:ポール・W・S・アンダーソン 2014年アメリカ/カナダ/ドイツ映画)

ポンペイ [Blu-ray]

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「あーポンペイが爆発する映画かー」などと思っていたが、ちょっと待て、爆発するのはヴェスヴィオ火山であってポンペイじゃねーだろオレ。アブナイアブナイ。まあしかしそのぐらいどうでもいい気持で観た映画ではある。剣闘士がなんちゃらで復讐がうんちゃらで禁断の恋がどうのこうのというストーリーはあったようだが、まあ、基本的に極めてどうでもいい物語であるのは間違いなく、とりあえずヴェスヴィオ火山が「どっかーん」と爆発する様を最新VFXで再現された映像を「凄いね凄いね」と堪能し、ポンペイの不幸な皆さんが逃げ場を失い阿鼻叫喚の地獄に落とされる様子を「怖いね怖いね」と菓子食いながら眺められればそれで十分、という映画である。こういったアトラクション・ムービーの類は、IMAX3Dあたりで特撮部分だけの30分1000円ぐらいの映像作品として公開したほうがよくないか?

■イントゥ・ザ・ストーム (監督:スティーヴン・クエイル 2014年アメリカ映画)

「すっげー大竜巻が来て、街も人もギッタギタにされる」という、ただそれだけのお話である。これもまたアトラクション・ムービーのひとつであり、登場人物もお話も何の魅力もないが、巨大竜巻さえ凄ければそれで問題ないとも言える。たまに「90分なり2時間映画に集中するのもかったりーし、酒飲んだりネットやりながらながらでも十分観られる映画とかないかなあ」などと思うことがあるが、この作品など最適だろう。なにしろ竜巻のシーンだけ観てれば事足りるのだ。お話は最高につまらないのだが、最新VFXで画面一杯に猛威を振るう巨大竜巻の映像はこれまでこんなの観たことない、と思わせるほどに凄まじいのだ。

テルマエ・ロマエ II (監督:武内英樹 2014年日本映画)

テルマエ・ロマエII DVD通常盤

テルマエ・ロマエII DVD通常盤

実は1作目は結構好きな作品なのである。もともとオレは原作ファンだったが、原作部分と映画オリジナル部分がいい具合に折衷され、これはこれで面白い映画を作ろうという気概が感じられたのだ。しかしこの2作目は「続編は駄作」のセオリーを見事に踏襲してしまっている。同じキャストでそれなりに予算も掛けられているであろうに1作目の面白さにまるで届くことがなかったのはひとえにシナリオの杜撰さだろう。この2作目ではオリジナルな要素が多く、それが原作のスピリットを殺してしまっているうえ、余計なエピソードの連続は、シナリオの無能さを恥ずかしげもなくあからさまにしてしまっている。とはいえ、ルシウスの行く末までに触れたラストはそこそこに汚名挽回をしている感はあった。