『ロボット』『ラ・ワン』に続くインドSFXヒーロー・ムービーはインド版『X-MEN』だった!?〜映画『Krrish 3』

■Krrish 3 <未> (監督:ラーケーシュ・ローシャン 2013年インド映画)


「鳥だッ!?飛行機だッ!?いやあれはクリシュだッ!!」と言ってたかどうかは分かりませんが、インドのSFXスーパーヒーロー映画『クリシュ3(Krrish 3)』であります。インドのSFXヒーロー映画といえばラジニカーント主演の『ロボット』、シャー・ルク・カーン主演の『ラ・ワン』と、非常にユニークな傑作が多いので、この『クリシュ3』もちと楽しみにして観てみることにしました。ちなみにタイトルに『3』とナンバリングされてますからシリーズ第3作なのでしょうが、1,2作がどうなっているのかは観ていないので分かりません。調べてみると宇宙人がどうとかいう話もありましたが、まあ要はいろいろあって超常的なパワーを得たんだってことなのだと思います。ヒンディー語DVDを英語字幕で鑑賞しました。

さてこのクリシュ、黒髪に稲妻模様の黒マスク、裾の長い黒ジャケットという全身黒装束の出で立ちで、ジャケットの長い裾をひるがえしながら戦うというのがポイントです。眼からビーム出したり口から炎吐いたりという特殊能力はありませんが、強靭な肉体とずば抜けた跳躍能力を備えているんですな。ただしあくまで跳躍能力なので、空飛んだりとかはできません。物語後半でジェット機のように空を飛ぶ能力を手に入れることになりますが、前半ではぴょーんぴょーんと街中をジャンプして活躍しております。この辺スパイダーマンあたりと差別化を図ろうとしたのでありましょうか。

こんなスーパーヒーロー・クリシュの表の顔はクリシュナという青年です。クリシュナさんは科学者の父ローヒトと妻のプリヤーと幸せに暮らしております。しかし危機が訪れるとクリシュナさんはクリシュに変身して人々を助けるんですな。このクリシュナ/クリシュ、さらに父ローヒトをリティック・ローシャンが一人三役で演じております。奥さん役のプリヤンカー・チョープラーさんは大変な美人ちゃんで、まあオレの女神ディーピカー様ほどではないにしても、映画の間中目の保養になってくれましたよグヘヘ。

さてヒーローがいるなら敵がいる!ということでヴィランの紹介を。まず悪の天才科学者カール(ヴィヴェーク・オーベローイ)、彼は車椅子に乗る障碍者ですが念動力を持っております。念動力持ってるならその力で立てばいいのに…などと言ってはいけません。彼が操る配下は変身能力を持つ女カーヤー(カンガナー・ラーナーウト)をはじめ、カメレオン舌男やらネコ科獰猛女やら怪力クマ男など、人間と動物のDNAを合体させて生まれたミュータントたちです。ちょっと『X-MEN』っぽいです。多分オマージュということで深く考えないほうがいいんだと思います。そしてこんなヴィランたちがクリシュと死闘を繰り広げるというわけですね。

アクションやSFXはハリウッド・ヒーロー・ムービーと比べても全く遜色ない派手なものです。特にラストのアクションなどは『マ〇リッ〇ス』や『マ〇・オブ・〇ティー〇』もかくやと思わせる破壊とスピードに満ち溢れた凄まじいもので、非常に楽しめました。ただし若干低年齢向けに作ってあるようで、「正義を貫こう!」とか「みんなで団結だ!」みたいなメッセージ性がちょっと気になるかもしれません。十分面白く観られたし、インドでも大ヒットした作品なんですが、個人的にはハチャメチャだった『ロボット』、SF的な物語性が充実していた『ラ・ワン』を超えるほどではなかったのが残念!それと面白かったのはこの映画、クリシュと妻と変身女カーヤーとの三角関係が描かれるという部分ですね。実は誘拐したクリシュの妻にカーヤーがなりすまして接近した、ということなんですが、ヒーローへの恋に身を焦がすヴィラン女子、というのもなかなか新しい気がしました。