NYの高層ビルから一人の男が飛び降りようとしているのが発見され街中大騒ぎ、やれやれ困ったもんだぜ、と警官が説得に訪れるが、実は自殺と見せかけてその男、ある計画を持っていた…というシチュエーション・サスペンス。要するにこの「飛び降り自殺をしようとしている男」からどれだけ話を膨らませて1本の映画に収まるエンターティメントを作れるか、という製作者の頭の絞り方加減を楽しむ映画で、「で、実は!?」という真相は予想もつかないようなことじゃないと面白くないし現実的でなければ白けてしまう、というさじ加減が難しい所でしょうな。だからこの映画、この発端から
ストーリーテリングの解法はいくらでもあるし、ジャンル自体もサスペンスではなくてコメディでもロマンスものでもSFでもいくらでもバリエーションがありうるわけですよ。そういったものの一つの解を見せられる、というのはそれはそれで楽しい物語体験だし、「ああこういう風にひねったのね」とフムフム観るのは悪くないですね。確かに突飛すぎる部分もあるにせよ、がんばったなあって気がして結構印象はいい映画でした。
■モンスター・イン・パリ 響け! 僕らの歌声(監督:ビボ・バージェロン 2011年フランス映画)
これ
リュック・ベッソン製作、『
シャーク・テイル』のビボ・バージェロン監督によるフランス製のCGアニメなんですね。物語は1910年代のパリを舞台にとある博士の作った薬でノミが巨大化、夜の街を徘徊してパリは大騒ぎ、しかしこのモンスターノミには音楽の才能があって…というコメディなんですな。
ピクサーあたりのCGアニメを目指したのでしょうけれどもよく言って幾分力足らず、悪く言えば模倣止まり、むしろもっとフランスっぽく個性的でもよかったような気がします。それとやっぱり、ノミが巨大化したのはいいとしても、こいつ何食って生きてんの?血とか吸わなくて大丈夫なの?と思ってしまうし、そもそもなんでノミが巨大化したら音楽の才能があることになっちゃうの?とか、いろいろ疑問点もあって、まあアニメなんだからいいじゃん、と言えばそれまでですが、そういうのがちょっと気になってしまいました。
■マダガスカル3 (監督:エリック・ダーネル、コンラッド・ヴァーノン、トム・マクグラス 2011年アメリカ映画)
ドリームワークスのアニメは
ピクサーアニメと違ってどこか気楽に観られる雰囲気がありますね。
ピクサーには多大な期待をしてしまうけれどドリームワークスにはそこそこに楽しめる作品を安定供給してもらればそれでいい、って気がしちゃうんだよな。この『
マダガスカル3』も気楽に観られた1本。『
マダガスカル』シリーズは1本も観たことが無くてこの『3』が初めてだったんですが特に問題なかったな。物語についてはどうこう書きませんが、非常にエッジの立った輪郭のグラフィックと鮮やかな
色彩設計がなにより楽しめましたね。多少低年齢向けかもしれませんが、こういうの作らせるとハリウッドアニメは間違いないなあ。