■テクノ・ディフィ二ティヴ / 三田 格、野田 努
シュトックハウゼンからクラフトワークへ、クラフトワークからデトロイト・テクノへ、デトロイト・テクノからジャングル/ダブステップへ。アンビエント/ノイズ/インダストリアルからニューエイジへ。ムーグ・シンセサイザーからラップトップ・ミュージックへ……さまざまなジャンル名を横断しながら、この半世紀にわたって発展したエレクトロニック・ミュージックを、歴史順に名盤を紹介しながら追っていきます!およそ全250 ページ・カラー、テクノの名盤600 枚以上のアートワークを掲載。各年代毎、最重要アルバムと最重要シングルを選びながら、エレクトロニック・ミュージックの歴史も読み取れます。
1963年から来る2013年へ、エレクトロ・ミュージックの50年の歴史を遡りながらその未来に思いを馳せる、三田格氏と野田努氏によるベスト・オブ・エレクトロ・ミュージック・カタログ。
それはMiss Nelson & bruceの「Dance Sing and Listen」で始まりHoly Otherの「Held」で終わる電子音楽の旅。1963年から1年毎に重要アルバムを並べ、その数はおよそ720枚にのぼる。テーマもそれぞれ「Space Age」「Krautrock」「Synth-Pop」「Bronx/Detroit/Madchester」「Rave Planet」「Artificial Intelligence」「Minimal Nation」「Electronica/IDM」「House/Disco Revival」「Glitch/Drone」「Dubstep/L.A.Beat/Juke」と編成され、エレクトロ・ミュージックの変遷とそのジャンル分けを細かに知る事が出来る。
一言でエレクトロ・ミュージックといっても、John Cageの現代音楽、John Lennon & Ono Yokoのミュージック・コンクレート、Parliamentのファンク、King Tubbyのダブ、David Bowieのシンセサイザー・ロックまでもが網羅され、それがヒップ・ホップとハウス・ミュージックの"発明"を経て、セカンド・サマー・オブ・ラブのレイブ・パーティーによって爆発的に認知度を上げ、さらにエレクトロ・ミュージックの世界の中で様々なジャンルに細分化されていった様子が年代を追いながら確認する事が出来るのだ。
個人的には下地として冨田勲のシンセサイザー・ミュージックがあり、1980年代に巻き起こったブリティッシュ・ニュー・ウェーブ、シンセ・ポップ華やかなりし頃に青春時代を過ごし、その後ハウス・ミュージックに衝撃を受け、そしてデトロイト・テクノに出会うことでエレクトロ・ミュージックへの偏愛を決定的にした、という経緯があるものだから、この本はどこか自分自身の音楽史とあまりにも似通っていて、大げさではあるがページをめくりながら我が半生それ自体に思いを馳せてしまうほどであった。
しかし戯れにここで挙げられた720枚の中で何枚聴いたことがあるか数えたらその数は180枚前後。まだまだ修行は足りないのである。そう、エレクトロ・ミュージックの海は、深く、そして広大なのだ。
○三田格+野田努 HMVインタビュー
(このインタビューの中の「部屋の中で聴きたいCDを探そうにもなかなかみつからない」というお話には大変共感してしまった…)

テクノ・ディフィニティヴ 1963 - 2013 (ele‐king books)
- 作者: 三田格,野田努
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