■ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い (監督:トッド・フィリップス 2009年アメリカ映画)
■史上最悪の二日酔い!
独身最後の日の友人のために「今日はハメ外しまくっちゃおうぜ!」と鼻息も荒くラスベガスに乗り込んだ4人の男。乱痴気騒ぎの夜が明けて、滅茶苦茶になったホテルの部屋で目覚めた彼等には、前夜の記憶が殆ど無い。「あーやっちまったかな…」と二日酔いの頭を抱えながら辺りを見回す彼等は、自分たちが異様な状況にあることに気付く!
・な、なんで俺の前歯抜けてるの!?
・俺なんで腕に病院のタグしてあんの?
・知らない赤ん坊が置き去りだよ!?
・ひぇぇぇ!バスルームに虎がいる!?
・友人の一人が行方不明だ!?
・俺らの車がパトカーに変わっちゃってるよ!?
・おいおい、昨夜いったい、俺らの身に、何があったんだ!?
ここから始まるジェットコースター・スラップスティック・コメディ、それがこの映画『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』であります!
■こんな二日酔いは嫌だ!
もうね、オレみたいな飲兵衛だと、酒の上での失敗なんてえのは大小合わせて数えきれないぐらいありますわ。過去恥部として永遠に封印したい、なんてものさえありますよ。一番ヤヴァかったのはお酒飲んじゃイケナイ年齢のときにやらかした急性アルコール中毒で、あれ確か2日ぐらい意識が無かったような気がする…。気が付いたら部屋がゲロだらけでね。あんな有様だったのに親も放っぽらかしだった、というのもナニではありますけどね。酔っ払ってラーメン食いたくなって、ヤカン火に掛けたまま眠っちゃって、気が付いたら部屋がモウモウとしていたことなんてのもありましたよ!あとこれは会社入ってからだけど、同僚の結婚披露宴で飲みすぎちゃってね。披露宴の最後に参加者みんなでアーチ作って新郎新婦をくぐらせよう、っていうのをやったんだけど、オレ目の前を通った新婦に突然「ぐへへへ!」とか言って抱きついちゃって、会場大混乱なんてことがありましたね!いやもう相当前の話だから時効時効!それにその夫婦別れちゃったし!…ああ…オレ、サイテーだ…。
というわけで恒例・『こんな二日酔いは嫌だ!』
・気が付いたら、隣の家のオヤジと全裸でベッドに入っていた。
・気が付いたら、額に「肉」の一文字が刺青されていた。
・気が付いたら、マグロ漁船に乗ってインド洋を目指していた。
・気が付いたら、TVのニュースにオレの顔写真が出ていて、なぜかアナウンサーが泣いていた。
・気が付いたら、ベッドに馬の首が投げてあった。
・気が付いたら、自分のブログにヤヴァイことを書きなぐって更新していた。
・気が付いたら、ゲリラの皆さんに囲まれ、「んじゃ自爆テロよろしく」とにっこり笑って肩を叩かれた。
・気が付いたら、スカイダイビングしていた。
・気が付いたら、宇宙人に体に何か埋め込まれている最中だった。
・気が付いたら、すっかりお爺さんになっていた。
■行方不明の友人を探せ!
というわけで記憶に存在しない前夜の真相と、行方不明になった友人の安否を確認するため、二日酔いの頭を抱えた男3人が涙目になりながらラスベガスの街をかけずり回るという映画、『ハングオーバー』であります。最初の30分ぐらいは登場人物と状況の説明で大人しめに進行してゆくのですが、主人公たちが二日酔いで目を覚ましてからどんどん物語が加速してゆきます。そしてひとつの謎が解決するとまた新たな厄介ごとが明らかになり、それがどれもこれもアリエネー出来事ばかりで、事態はどんどんハチャメチャの度合いを深めてゆき、主人公たちを追い詰めてゆくんですな。この構成と脚本の妙が映画に独特のスピード感を生み、謎が謎を呼ぶその展開はある種のミステリ作品にも通じるものがあって、最後の最後までお話に興味が尽きないんですよ。
登場人物たちもそれぞれ個人的な事情を抱えており、その背景が相乗効果を生んで笑いに拍車をかけます。そしてあとからどんどん湧いてくる、ストリッパーやら謎の中国人やらマイク・タイソン(本人役!)やらがますます状況を引っ掻き回してくれるんですな!コメディ映画ファンは当然のこと、コメディやバカ映画が苦手な方でも楽しめると思うし、無視しちゃうのは本当に勿体無い映画です。コメディ映画といってもいろいろで、例えば『俺たちフィギュアスケーター』はベタで泥臭い笑いが実に判りやすかったし、『ホット・ファズ』はシニカルなブラック・ユーモアが冴えた映画でしたし、『ブルーノ』は攻撃的で批評的なスタンスがヒステリックな可笑しさを生む映画でした。この『ハングオーバー』はよく知ってるはずの日常がいきなりほころんで登場人物たち全員を危険とパニックに陥れるという、笑いとスリルが同居した面白さを持っているんですよ。とっても楽しくてそしてハラハラさせてくれる映画『ハングオーバー!』、是非御覧になってみて下さい。
ところで全然関係ないですが、既にこんな便乗DVDが出ております。
- 出版社/メーカー: タキ・コーポレーション
- 発売日: 2010/08/06
- メディア: DVD
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (6件) を見る