人にはススメられない仕事 / ジョー・R・ランズデール

人にはススメられない仕事 (角川文庫)

人にはススメられない仕事 (角川文庫)

アメリカ南部のド田舎を舞台に、落ちこぼれ白人ハップとゲイ黒人レナードの凸凹コンビが、悪党相手に大立ち回りを演じるという愉快なシリーズの中の1作。貧乏白人こええよ!アメリカのド田舎は無法地帯だよ!という世界で、やさぐれダメ野郎のくせに何故かやたらタフなハッブと、ゲイのくせに男気溢れるレナードが、減らず口とシモネタを3行に1回ブチかましながら血腥く陰惨な暴力事件に巻き込まれてはボコボコにしてやりかえすといったストーリーである。
ジョー・R・ランズデールの描くこのシリーズは以前『罪深き誘惑のマンボ』を読んでかなり面白かったんでまた手にしてみようと思った次第。なにしろ主人公二人の下品な掛け合いが楽しい。もしオレが小説なんかを書く事が出来るなら、ジョー・R・ランズデールみたいな小説を書きたいとさえ思った。
今回の物語はハップが彼のガールフレンドの売春婦に身をやつした娘を足抜けさせようと大奮闘するといった内容である。しかし相手は凶悪なギャング集団、簡単に足抜けなんぞさせてくれはしない。そこでハップとレナードは拳銃・ライフル・ショットガンで完全武装、戦争でもおっぱじめるような気合で悪党どもの根城に乗り込んでゆくが…。
まあストーリー自体は単純だけど、主人公ハップとレナードのみならず、敵役も一癖も二癖もある怪しさといかがわしさに満ち満ちており、彼らが丁々発止のやり取りをするさまがなにしろ面白い。よくもまあこれだけダメでカスで下品でクソな連中を生き生きと描けるものだ。心情的にダメでカスで下品でクソに限りなく近いオレとしては物凄くシンパシーを感じる。シリーズは何作か出ているのでちょびちょび読んでいきたいな。