マイク・マイヤーズ期待の新作は・・・グダグダのトホホ映画だった!?

■愛の伝道師 ラブ・グル (監督:マルコ・シュナベル 2008年アメリカ・カナダ映画)


「そういえば最近マイク・マイヤーズはどうしておるのじゃ」そうオレは思ったのである。『ウェインズ・ワールド』での出会いは衝撃的であった。馬鹿に影響されやすい馬鹿のオレはエ〜クセレェ〜ント!とかシュウィ〜〜ン!とか毎日のようにやっては周囲の冷たい視線を浴びて喜んでいたのであった。
そして『オースティン・パワーズ』トリロジー!これは決定的だった。シャガデリック!モージョー!Drイーブル!ミニ・ミー!双子のFUKUMIとFUKUYU姉妹!ああ…大好きだった…。こうしてオレの中でマイク・マイヤーズは天頂に輝く馬鹿の星として燦然ときらめいていたのである。
しかしその後が泣かず飛ばずだった。『ハッピー・フライト』は脇役だったしアニメ『シュレック』の声優は論外だ。そうこうしているうちにもアメリカやイギリスの活きのいい馬鹿の映画が沢山公開されるようになり、オレはそっちのほうに目を奪われるようになっていった。そんなある日、マイク・マイヤーズの新作馬鹿映画の話が舞い込んできたではないか。
タイトルは『愛の伝道師 ラブ・グル』。スチール写真を見ると相変わらず馬鹿そうなマイク・マイヤーズのハクい笑顔が目に飛び込んできた。おお!オレのマイク・マイヤーズ!今まで忘れていてゴメン!ベン・スティラーウィル・フェレルアダム・サンドラーに浮気していたオレを許してくれ!…しかし、この『ラブ・グル』、どうやらDVDスルーみたいなんだが、だ、大丈夫だよね…?
お話はインドであれこれ修行を積んだらしい怪しい伝道師グル・ピトカ(マイク・マイヤーズ)がアメリカにやってきて、恋人を寝取られたあまりスランプになっちゃった花形アイスホッケー選手に心のケアを施し名前を売ろうとするが…といったもの。マイク・マイヤーズは見るからにインチキ臭い格好でインチキ臭い教義を並べ立て、そして相変わらずお下品でドスケベなドタバタを撒き散らす。
で、観終わった感想がどうだったかというと、う〜ん、こりゃグダグダだ…。なんかもー唖然とするほど詰まんなかったよ!おーいどうしたんだマイク・マイヤーズ!適度に予算もあったみたいでセットもケチらず、歌と踊りの大サービスあり、『オースティン〜』でミニ・ミーを演じたヴァーン・トロイヤーの再共演、さらにはオレ的にかなりシュウィ〜ン!なジェシカ・アルバたん(ハァハァ…)の大抜擢まであったにもかかわらず、出来は全くのトホホ状態。
どうやら海外でも大不評だったみたいで、2008年度第29回ゴールデン・ラズベリー賞のノミネートまでされてしまった。しかもワースト映画賞、ワースト主演男優賞、ワースト監督賞、ワースト脚本賞など計7部門の最多ノミネートという名実ともにダメダメ映画ぶり!発表・授賞式は2月21日だというがさてどうなることやら…。
やっぱりねー、なんというかダラダラしててメリハリが無さ過ぎたんではないですかね。怪しい伝道師グル・ピトカのキャラ造型は悪くないんだけど、インド系の悠久かつ暖簾に腕押しな掴み所の無さって、スラップスティックなドタバタには向いてなかったのかも。それにボケのゴリ押しばかりでツッコミが誰もいないから、シモネタ連発してもダダ洩れしているだけなんだよなあ。
というわけで実に残念な仕上がりの『愛の伝道師 ラブ・グル』、取り合えずジェシカ・アルバたんの臍出しベリーダンスを拝んで我慢しとこう!という映画でありました!

愛の伝道師 ラブ・グル [DVD]

愛の伝道師 ラブ・グル [DVD]

■ハネムーンは命がけ (監督:トーマス・シュローム 1993年アメリカ映画)


マイク・マイヤーズモノもう一本。こちらは1993年公開作品という事で、丁度『ウェインズ・ワールド』の『1』と『2』の間に製作されたもの。婚約までこぎつけた恋人が連続殺人鬼かもしれない!?と疑いを持ってしまった男チャーリー(マイク・マイヤーズ)のミステリー・コメディー。
90年代初頭ということもあってかファッションがなんとなくチャラ臭く感じるのはご愛嬌か。しかし連続殺人鬼の肉切り包丁と絡めたかったんだと思うんだけど、若くて美人な女子が肉屋を一人で切り盛りしていて、そこで主人公が彼女を見初めるっていうのは、ちょっと出会いの場所としてはナニなような気がするけどなあ。マイク・マイヤーズのギャグは相変わらず下ネタ中心だが、なんだか辺りをうかがっているようなセコセコした弱さでイマイチ笑えない。
ただ、主人公の家族がスコットランド移民の一家という設定で、それが映画全体に妙な味わい深さを加えている。主人公の父親役はマイク・マイヤーズお得意の一人二役、意味があったのかどうか分からないが、これはこれで楽しかった。マイク・マイヤーズはやっぱりコスプレしてナンボなのか?