山口晃作品集

山口晃作品集

山口晃作品集

驚くほど立体的で緻密な線画と、それと対比的な”抜け”の多い大和絵の省略を多用した平面性のミクスチャー。山口晃の絵は建築見本のパース画ブリューゲルの活人画を展開し屏風絵の如き静的なパノラマとして落ち着かせたユニークな画法のアーチストである。そのミクスチャー加減は題材とされる絵の中で日本の中世・近世・現代・未来が渾然一体となって描写されているところにも現れている。そしてなにより山口の絵は”楽しい”。膨大な描線の中に埋め込まれた建築様式の遊びと、人々の生き生きとした表情や仕草を見つけてゆくのが楽しいのだ。しかしあまりに精緻である為に縮小された図版を収めざるを得ない画集だとその楽しさは半減するかも。だからこの画集にはルーペが付いてます!